ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■アンタッチャブルズ、キング・オブ・M、ヒステリア、ロイヤル・アフェア、旅立ちの島唄、セデック・バレ、ヒッチコック、恋する歯車
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『アンタッチャブルズ』“De l'autre côté du périph”
一昨年の東京国際映画祭のグランプリ作品『最強のふたり』
(2011年10月30日付で紹介)に出演し、最優秀男優賞も獲得
したオマール・シー主演による刑事コメディ。
物語の主な舞台はパリ郊外のボビニー地区。集合住宅が立ち
並び荒廃した雰囲気の漂うこの地区は、昼間から若者たちが
街角に屯する犯罪の温床でもあった。事件はそんな地区にあ
る闇賭博場の近くで発生した。
それはフランス経済に影響力を持つ大企業の社長夫人が、賭
博場近くのゴミ捨て場で遺体で発見されたというもの。そし
てその捜査はパリ警察のフランソワ刑事の担当になるが、彼
は捜査よりゴマすりが信条のぐうたら刑事だった。
一方、その事件には地元ボビニー警察のウスマヌ刑事も関心
を寄せており、向上心あふれるウスマヌはパリ警察に食い込
むチャンスとばかり共同捜査を申し出る。そしてその具申は
地元との友好を図りたい上層部の理解を得てしまう。
こうして、都会派のぐうたら刑事と下層階級出身の熱血刑事
という凸凹コンビが誕生することになるが…。事件には予想
外の裏事情が潜んでいた。果たして2人はその真相を暴くこ
とができるのか?
いわゆるバディものということでは、ハリウッド映画でもこ
の手の作品は数多くあるが、本作はフランス映画。そこには
フィルムノアールの味わいもあって、なかなかの作品に仕上
がっていた。
しかも映画の中には、70台の車両と80人のスタントマンが投
入されたカーチェイスも登場し、そのシーンではリアルさを
出すためにオマール自身がハンドルを握ったとのことで、正
しくハリウッド顔負けのシーンとなっている。
共演は、2000年『クリムゾン・リバー』に出演のローラン・
ラフィット。他に、2011年1月紹介『神々と男たち』などの
サブリナ・ウアザニ、2010年2月紹介『オーケストラ!』な
どのリオネル・アベランスキらが脇を固めている。
脚本と監督は、本作が長編2作目のデヴィッド・シャロン。
また、撮影を2011年7月紹介『この愛のために撃て』などの
アラン・デュブランティエが担当、音楽は昨年2月紹介『ア
ーティスト』のルドヴィック・ブールスが手掛けている。
『キング・オブ・マンハッタン』“Arbitrage”
経済問題を背景に、ある事件に巻き込まれた男の姿を描き、
主演のリチャード・ギアにゴールデン・グローブ賞候補をも
たらした作品。
主人公は一代で財を成した投資アナリスト。しかし目論んだ
投資に失敗し巨額の負債が伸し掛かる。そこで彼は成功して
いる自らの会社を売却し、それで負債を解消することを考え
る。そのためには、売却が契約されるまで帳簿上で負債を隠
し通す必要があった。
ところがそんな折、彼の運転する車が事故を起こし、同乗し
ていた車の持ち主の女性が死亡してしまう。それは明らかな
事故であり、彼自身の罪も軽いはずだったが…。彼には一瞬
の時間も無駄にする余裕がなかった。そこで彼は恩義のある
若者を呼び出し、その場を逃れてしまう。
映画の前半では、ギアの演じる主人公が仕事に対してかなり
強引な部分もあって、多少感情移入のし辛い感じもした。し
かし物語が進むに連れて主人公の立場が明らかになってくる
と、悪いことと判っていながらそうせざるを得ない葛藤のよ
うなものも描かれ、主人公が理解できるようになる。
その語り口は巧みで、経済問題などよく判らない僕のような
者にも主人公の立場が理解できるように描かれていた。それ
は金持ちって大変だなあ…とも思わせてくれたものだ。
共演は、2005年2月紹介『シャル・ウィ・ダンス?』でも夫
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02月05日(火)
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