ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■奪命金、ホビット、王になった男、キャビン、ブレイキング・ドーン、クラウド・アトラス、レ・ミゼラブル、ライフ・オブ・パイ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『奪命金』“奪命金”
2010年3月紹介『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』などのジ
ョニー・トー脚本・監督による2011年作品。本作は、香港電
影金像奨で助演男優賞と助演女優賞、台湾金馬奨では作品賞
と主演男優賞、オリジナル脚本賞に輝いている。
登場するのは香港警察の警部補と、銀行の金融商品営業担当
者の女性、それに好漢で人望も厚いヤクザの兄貴分。そんな
3人が、ギリシャの債務危機に始まるヨーロッパ金融市場の
混乱の中、それぞれ金にまつわる騒ぎに巻き込まれる。
宣伝コピーには金融サスペンスとあるが、金融市場のカラク
リみたいなものではなくて、もっと気楽に楽しめる分かり易
いサスペンス作品になっている。
ただまあ映画の中では殺人なども起きるし、かなり暴力的な
シーンもあって、その辺は香港ノワール的な味わいもたっぷ
りの作品。それでも主人公たちにはそれなりの幸運がもたら
されるという、香港映画らしい作品になっている。
出演は、2010年11月紹介『MAD探偵〜7人の容疑者』など
のラウ・チンワン、今年3月紹介『女ドラゴンと怒りの未亡
人軍団』などのリッチー・レン、それに2003年『ジェイ・チ
ョウを探して』などのデニス・ホー。
他に、昨年4月紹介『ドリームホーム』などのロー・ホイパ
ン、2002年12月紹介『カルマ』などのソー・ハンシェン、香
港TVの人気アイドルで本格的な映画出演は初となるミョー
リー・ウーらが脇を固めている。
金融絡みの香港作品では、以前にもそのカラクリを利用した
詐欺事件を描いたアクション映画があったが、実はその映画
ではカラクリが明確には把握できなくて、物語の全容が掴め
ず弱ったものだ。
それに対して本作で描かれるヨーロッパ金融市場の混乱など
は現実に起きた出来事ではあるし、それに便乗した金融の動
きなどはそれなりに理解もできた。と言ってもホイパンの絡
むエピソードは今一つ解っていないのだが…。
しかし本作では、そのカラクリは別として人間ドラマが巧み
に描かれており、それは純粋に楽しめる作品となっている。
さすがジョニー・トーの作品という感じだし、オリジナル脚
本賞も伊達ではないという感じだった。

『ホビット・思いがけない冒険』
“The Hobbit: An Unexpected Journey”
ピーター・ジャクスン監督による『LOTR』の前日譚『ホ
ビット』三部作の第1弾。これから2年半に亙って公開され
るシリーズがついに開幕した。
元の『LOTR』は原作から三部作だったが、『ホビット』
の原作は1冊だけ。しかし今回の映画化に当っては、原作者
JRR・トーキンが『LOTR』の巻末の残した設定に基づ
き、それを設計図としてトーキン自身が『ホビットの冒険』
の裏に思い描いていた世界が構築される。そしてそれは『指
輪物語』の世界に繋がって行くものだ。
その映画の始まりは…。いやあ、映画は最初から仕掛けが満
載で、これはもう観て楽しんでいただく他はない。それに物
語の多くは、原作の『ホビットの冒険』には描かれていない
から、原作を読んでいても「ええ、そんな話があったの?」
と驚くことしきりの作品だった。
もちろん、ビルボとゴラムの件など原作の通りのシーンが中
心に描かれているが、そこに次々に知らない話も登場する。
一方、原作にもあるオークの襲撃の件は、後の『LOTR』
にも繋がって行くもの。そんな多方面に繋がる物語が巧みに
構築されている。
出演は、イアン・マッケラン、今年5月紹介『SHERLOCK』で
ワトスンを演じていたマーティン・フリーマン。他に、昨年
8月紹介『キャプテン・アメリカ』などのリチャード・アー

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12月09日(日)
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