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On the Production
by 井口健二
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■もうひとりのシェイクスピア、マリーゴールド・ホテル、009、フリーランサー、みせものやさん、阿賀に生きる、96時間リベンジ、PA4
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『もうひとりのシェイクスピア』“Anonymous”
2009年11月紹介『2012』などのローランド・エメリッヒ監督
が、イギリスの文豪シェークスピアの謎に挑んだ歴史作品。
時は16世紀。エリザベス一世統治下のロンドンでは、演劇が
新たな時代を開こうとしていた。しかし政治風刺なども盛り
込まれた演劇には、眉を顰めるものもいた。その筆頭は時の
宰相セシル卿とその息子のロバート。
そんな芝居をオックスフォード伯エドワードは友人に誘われ
観に来ていた。ところがそこに兵士が乱入し、芝居は中止、
作者や役者、観客までもが取り押さえられてしまう。しかし
その様子に演劇の持つ力を知ったエドワードは…
元々エドワードには、幼い頃から劇作の才能があり、それは
まだ若き日のエリザベスの前でも演じられていたもの。そし
てエドワードは、劇作家のジョンソンを釈放して屋敷に呼び
出し、手渡す戯曲を匿名で公演するように依頼する。
その表紙には「ヘンリー5世」と記されていた。
シェークスピア=オックスフォード伯説というのは元々ある
もののようだが、本作ではそこからさらに壮大な歴史の秘密
が展開される。それは正に歴史のファンタシーと呼んでも良
いくらいのもので、成程これならエメリッヒがやってもいい
だろうと思えたものだ。
因にエメリッヒは、10年以上も前からこの物語の映画化を希
望していたのだそうで、特撮大作の名手ともされる監督が、
正しく満を持して制作に踏み切ったと言える作品だ。
そしてその脚本は、テレビ『バンド・オブ・ブラザース』な
どのジョン・オーロフが担当(彼も同様の企画を長年温めて
いたのだそうだ)。エメリッヒと共に見事に歴史の謎を描き
切っている。
出演は、『アメイジング・スパイダーマン』などのリス・エ
ヴァンス。またヴァネッサ・レッドグレイヴと実の娘のジョ
エリー・リチャードスンが2つの世代のエリザベスを演じる
のも話題になりそうだ。
そしてこの作品では、VFXを駆使して再現された16世紀の
ロンドンの景観も堪能できる。それは街並みからテムズ川を
行き交う船舶まで多岐に渡るもので、これにはジェームズ・
キャメロンが『タイタニック』で言われた、「タイムマシン
で撮ってきたようだ」という言葉も思い出した。
VFXは、エメリッヒ監督の2004年『デイ・アフター・トゥ
モロー』や、2009年『2012』も手掛けたマーク・ワガートが
担当している。
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』
“The Best Exotic Marigold Hotel”
2005年『プライドと偏見』の脚本を手掛けたことでも知られ
る人気作家デボラ・モガーの小説“These Foolish Things”
を、2006年“Imagine Me & You”という作品で脚本・監督を
手掛けたオル・パーカーの脚本、2005年11月紹介『プルーフ
・オブ・マイ・ライフ』などのジョン・マッデン監督で映画
化した作品。
全体としてはアンサンブル劇のような構成になっているが、
その主人公の1人イヴリンは40年連れ添った夫を亡くしたば
かり。しかしその間ただ従ってきただけの彼女に残されたの
は多額の負債だけだった。そのため住まいも失ったイヴリン
は新たな旅を開始する。
その他、最高裁判事を辞職した男性や、公務員を定年退職し
た夫と文句ばかり言っているその妻。さらに人種偏見を持っ
ているが、長年の仕事で痛めた腰の手術を安価に受けるため
にその国を訪れる女性など、総計7人のいずれも人生の終盤
を迎える男女が旅の同行者だ。
そして男女がやって来たのはインドのジャイプール。そこに
は介護設備の整ったリゾートホテルがあるはずだったが…。
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10月21日(日)
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