ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460044hit]
■三大映画祭週間、やがて哀しき…、ひみつのアッコちゃん、カルロス、声をかくす人、ナナとカオル2、ふがいない僕は…+Time and Again
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『三大映画祭週間2012』
カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアとサン・セバスチャン映画
祭に出品された作品8本を揃えた企画上映会が、東京渋谷の
ヒューマントラストシネマで8月4日から3週間限定で開催
される。
その中から6作品を観せて貰ったので纏めて紹介しておく。
「ミヒャエル」
2011年のカンヌ・コンペティションに選出された作品で、昨
年の東京国際映画祭でも上映されたが、その際は見る機会が
なかった。
内容は、35歳の独身男性と彼が自宅に軟禁している10歳の少
年との交流を描いたもので、多少異常な感じもする作品だ。
しかし作品は何か不思議な雰囲気にも包まれていて、その辺
で映画祭の選出が叶ったものと思われる。
「我らの生活」
2010年カンヌで男優賞に輝いた作品。ローマ郊外の建設現場
で働く男性を主人公に、理不尽な世間の現状を描いてゆく。
物語自体はかなり悲惨なものだが、そこに見出される希望が
素敵に感じられる作品だった。
「フィッシュ・タンク」
2009年カンヌで審査員賞を受賞した作品。悲惨な環境の中で
も、真剣に生きていこうとする若い女性の姿を描いている。
最近こういう作品が多いが、これも映画が現実を写している
からなのだろう。そこに必死に希望を描いているのも、辛い
話なのかもしれない。今年2月紹介『SHAME』などのマイクル
・ファスベンダーが共演している。
「俺の笛を聞け」
2010年ベルリンで銀熊賞を受賞した作品。少年刑務所に収監
されている少年を主人公に、これもまた理不尽な世間の仕打
ちが描かれてゆく。ただ本作の場合は主人公の行動にも問題
があるが、そうせざるを得ない心情も巧みに描かれていた。
「時の重なる女」
2009年ヴェネツィアで女優賞を受賞した作品。強盗団に襲わ
れて恋人を失い、自らも記憶を喪失した女性の物語。その記
憶が徐々に戻り始めるが、それは驚愕の真実を語り始める。
それなりにファンタスティックな展開もある作品だが、僕に
は結末が納得できなかった。
「ムースの隠遁」
2009年サン・セバスチャンで審査員賞受賞の作品。薬物依存
症の女性が、そのために恋人を失うが、彼は彼女の体に子供
を残していた。そして彼女は都会を離れ、隠遁生活を開始す
るが…。フランソワ・オゾン監督の作品で、監督らしいムー
ドにも包まれた作品だった。
以上6作品の他にこの企画では、2008年カンヌ審査員賞受賞
「イル・ディーヴォ」と、2010年ヴェネツィア銀獅子賞受賞
「気狂いピエロの決闘」が公開される。いずれも映画ファン
なら見ておきたいと思う作品だ。
『やがて哀しき復讐者』“報應”
前回『コンシェンス/裏切りの炎』を紹介した「ニュー香港
ノワール・フェス」で上映される3作品の内の最後の1本。
2010年3月紹介『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』などで現
代香港ノワールの旗手ともされるジョニー・トー監督が製作
を務める作品。
物語の中心は不動産会社の社長。妻と死別し後妻を迎えるが
子供たちはそれに反発し、特に娘は父親に当てつけるような
放蕩生活を続けている。そんな娘が誘拐され、身代金の要求
が届く。しかし娘の狂言と断定した父親は警察にも届けず身
代金だけ用意する。
ところが事態は予想外の展開となり、その顛末に父親は真犯
人への復讐を誓う。そして腹心のボディガードの男と共に真
犯人の追求を始めた父親は、次第に一味の居場所を突き止め
て行くが…
出演は、2008年7月紹介『ハムナプトラ3』などのアンソニ
ー・ウォンと、2011年8月紹介『アクシデント』などのリッ
チー・レン。2人はトー監督の2006年作品『エグザイル』以
[5]続きを読む
07月29日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る