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On the Production
by 井口健二
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■闇金ウシジマ、これは映画、ハイザイ、フクシマからの風、ディクテーター、メリダとおそろしの森、コロンビアーナ、フランス映画祭短編集
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『闇金ウシジマくん』
2011年小学館漫画賞を受賞した真鍋昌平原作漫画の実写映画
化。なお本作は2010年10月にテレビの深夜ドラマ化もされて
おり、本作はそのドラマ化と同じ山田孝之が主人公の丑嶋を
演じている。
その丑嶋が関る今回の物語は、大学生主体でイヴェントを仕
掛ける若い男を描く。彼自身は学生ではないが、イケメンの
男子学生を組織し、そこに群がる女性たちを利用して企業の
パーティなどを盛り上げる。その人脈で伸し上がるのが彼の
夢だ。
そしてもう1人。母親が丑嶋の取り立てに追われている若い
女性。彼女自身は僅かなアルバイト料でささやかな暮らしに
満足していたが、母親の借金の返済から徐々に金の稼げる危
ないアルバイトに進んでしまう。
そこに謎の男・肉蝮や暴走族の総長・石塚、美人局の根岸ら
が絡んで、丑嶋と警察、弁護士との関係や、若い男が主催す
るパーティ・イヴェントの裏側で進行する金を巡る様々な事
件が描かれて行く。
共演は林遣都、大島優子。他に崎本大海、やべきょうすけ、
岡田義徳、ムロツヨシ、鈴之助、内田春菊、市川隼人、片瀬
那奈、黒沢あすか、新井浩文。さらに金田明夫、古舘寛治ら
が脇を固めている。
製作、脚本、監督はテレビシリーズでの企画、製作、脚本、
演出も手掛けた山口雅俊。映画の監督は初めてのようだが、
2011年9月紹介『スマグラー』の企画、製作、脚本なども手
掛けている。また本作の脚本には今年2月紹介『幸運の壺』
の福間正浩も名を連ねている。
映画の始まりは如何にも拝金主義の若者風俗のような描き方
で、それはかなり嫌みな部分を見事に描き出す。そしてそこ
に丑嶋が登場してその嫌みな部分を打っ飛ばす。そんな感じ
が映画の全体のトーンになっている。
それは、現代の若者風俗に対する批判のようでもあり、それ
なりに良識も感じさせるものになっていた。その点では僕は
本作に悪い感じは持たなかったし、むしろ共感を覚える感じ
だった。
『これは映画ではない』“این فیلم نیست”
2007年5月紹介『オフサイド・ガールズ』で、ベルリン国際
映画祭のグランプリを受賞したイランの反体制映画監督ジャ
ファール・パナヒが映画製作を禁じられた自宅軟禁中に制作
した「映画ではない」作品。
監督は、2010年3月に新作映画の制作準備中を拘束され、同
年12月「イラン国家の安全を脅かした罪」により、6年間の
懲役と、20年間の映画製作の禁止、出国禁止、マスコミとの
接触禁止という一審判決を受け、現在は自宅軟禁中。
本作は昨年3月の火祭りの夜に自宅内で撮影され、完成され
た作品はUSBファイルに納められてとある知人の手で国外
に持ち出され、昨年5月のカンヌ国際映画祭でプレミア上映
された。
作品の内容は、監督が友人のミルタマスブ監督を自宅に呼ぶ
ところから始まり、過去に準備していた脚本の朗読や、床に
テープで間仕切りをして一部を演じてみせるシーンなど。さ
らにそこに現れる闖入者やペットのイグアナ、窓からの風景
などが写されている。
その撮影は、もしかしたら周到に準備された演出かも知れな
いが、映画の中では偶然のように見えるものになっている。
しかしその中では現政府に対するプロテストの意志も明白に
見えるものだ。
前回紹介の『オロ』の中でもチベットの反体制映画監督のこ
とを書いた。その監督の作品は観ていないが、紹介文による
と作品の全体的な構成は街頭インタヴューを纏めたもののよ
うだ。
それに対して本作は実に様々な要素を持った内容で、そこに
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06月24日(日)
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