ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ミッシングID、孤独なツバメたち、一枚のめぐり逢い、MY HOUSE、フェイシズ、フライペーパー!、Hell、ラム・ダイアリー+Sin City
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ミッシングID』“Abduction”
『トワイライト』シリーズで人気者になったテイラー・ロー
トナーの単独主演によるサスペンス・アクション作品。
主人公は自分は普通だと思っている高校生。しかし夜ごとに
目の前で女性が殺される夢を観て精神科医の治療も受けてい
る。そんな彼が学校の宿題で同級生の女生徒と共にネットを
閲覧していたとき、彼は行方不明者の捜索サイトに自分の幼
い頃の写真を発見する。
それまでも目の前で殺される女性が母親と感じていた主人公
は、そのことを両親と称してきた男女に問い詰めるが…。突
然素性の不明な男たちが侵入し、男女が殺害され、主人公は
女生徒と共に逃亡を余儀なくされる。
そこにはCIAと名告る男からの電話も掛かり始め、様々な
協力者も現れる。そして主人公は、父親と名告っていた男か
ら格闘技の術も叩き込まれていた。
共演は、ミュージシャンのフィル・コリンズの娘で昨年7月
紹介『プリースト』などのリリー・コリンズ、『ハリー・ポ
ッター』シリーズにも出演したジェイスン・アイザックス、
2008年2月紹介『ジェイン・オースティンの読書会』などの
マリア・ベロ。
さらにアルフレッド・モリナ、シガーニー・ウィーヴァー、
スウェーデン版『ミレニアム』に主演のミカエル・ニクヴィ
スト、2010年1月紹介『バッド・ルーテナント』などに出演
のデンゼル・ウィティカーらが脇を固めている。
監督は、1991年『ボーイズ’ン・ザ・フッド』で史上最年少
(24歳)のオスカー監督賞候補になったジョン・シングルト
ン。脚本は、本作がデビュー作だが短編映画監督でもあるシ
ョーン・クリステンセンが担当した。
製作に『ジェイスン・ボーン』シリーズを手掛けるパット・
クローリーが参加しており、本作もその流れを継ぐ作品とい
う宣伝がされている。確かに自分のアイデンティティーを探
すという点では同じ傾向の作品だ。
ただし本作では主人公が高校生という、さらに微妙な設定と
なっており、脚本はその点を極めて巧みに消化していた。こ
の脚本家には今後も注目したいところだ。

『孤独なツバメたち』
ブラジルからの出稼ぎ労働者の子として日本で生まれたり、
幼い頃に日本に連れてこられ、日本で成長した日系ブラジル
人の若者たちを追ったドキュメンタリー。
2008年のリーマンショック以降、破綻した日本経済の中で多
くの海外からの出稼ぎ労働者が解雇され、日系ブラジル人労
働者の多くが帰国した。そこには日本で生まれ育った子供た
ちも数多く存在した。
作品は、浜松学院大学の学生と日系ブラジル人の若者たちを
中心に設立されたMinority Youth Japanを通じて製作され、
同大学教授の津村公博が監督・撮影・プロデューサーとして
参画。さらに2006年の劇映画『ハリヨの夏』などの中村真夕
の監督・撮影・編集によって完成されている。
映画の内容では、リーマンショック以前の浜松での状況に始
まり、ショック以降の両親と一緒にブラジルに戻らざるを得
なかった子供たちの暮らし振りが、ブラジルでの取材も含め
て描かれる。
そこには、日本で生まれ育ったにも拘らず、日本国籍を持た
ないために義務教育の恩恵も受けられず、中卒若しくは中学
中退で働き始めたまだ若い男女の、その給与からは税金も支
払われていたのに同等の権利を得られない法律の理不尽さな
ども描かれる。
そんな彼らを搾取し続けた日本社会の素顔は、僕自身も含め
た日本人に対して厳しく突きつけられる現実の姿なのだ。
しかしそんな状況の中で暮らした彼らが、日本で中卒ゆえに
受けた差別の悔しさなどを糧にブラジルに帰って勉学に励む

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04月22日(日)
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