ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460095hit]

■女ドラゴン、先生を流産…、ベルフラワー、ムッシュ・ラザール、ビースト・ストーカー、㊙…市場、座敷わらし、愛と誠+Hungover
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』“楊門女将”
11世紀の中国・宗時代の実話に基づき、古典文学や京劇でも
知られる物語を、ジャッキー・チェンのプロデュースで映画
化した女性アクション作品。香港ショウ・ブラザースによる
1972年超大作『14アマゾネス/王女の剣』のリメイク。
時は11世紀、北方の異民族・西夏軍の侵攻によって中国・宗
の王朝は脅かされていた。その頃、北の最前線である天門関
には楊宗保将軍が派遣されていたが、10万を誇る西夏軍の攻
撃に兵力も尽き陥落の時を迎える。
その楊将軍の生家・楊家からは長年多くの武将を戦場に送り
出してきたが、常に激戦地に赴く武将たちは次々に倒れ、今
や14人の未亡人と宗保将軍の1人息子が残るだけだった。そ
して宗保将軍の妻穆桂英は息子文広には官吏になって欲しい
と願っていたが…
朝廷から、文広を兵馬大元帥に任じ、1万の兵を率いて西夏
軍と戦えとの勅命が伝達される。敵は10万、この死地に赴く
に等しい命令に、ついに楊家の女たちが立ち上がる。
出演は、結婚出産で女優業を一時休んでいたセシリア・チャ
ンを始め、そのセシリアとは1999年『星願/あなたにもう一
度』でも悲恋を演じたリッチー・レンが将軍役で再共演。さ
らに『グリーン・デスティニー』のチェン・ペイペイ、『西
太后』などのリウ・シャオチン、JAC出身の大島由加里な
どが脇を固めている。
脚本と監督は、ショウ・ブラザースで300本を超える作品の
音楽を担当し、その他にプロデューサーや俳優、カースタン
トまでこなすというフランキーチャン。因に監督も1990年代
に金城作品などを手掛けているベテランだ。
中国、香港ではそれぞれのラジー賞にノミネートされた怪作
という触れ込みの作品だが、現地の目の肥えた観客はいざ知
らず、僕の目にはそれほどの作品には思えなかった。それは
確かに投石機や巨大な弓、大槌などしっちゃかめっちゃかな
ところはあるが、香港映画は元々こんなのが定番だったよう
にも思える。
それより14人もの女性戦士が、それぞれ剣や槍、棍棒などの
様々な武器を駆使して戦う姿は中々で、そのアクションシー
ンなどはそれなりに楽しめたものだ。それに朝廷の横暴など
が何となく描かれているのも面白く感じられた。

『先生を流産させる会』
2009年に愛知県で起きた実話に基づくという作品。扇情的な
題名からかなりの問題作と予想させたが、実際はかなり節度
のある描き方で、さほどの違和感もなく鑑賞のできる作品だ
った。
物語の舞台は、現代ならごく普通と言える中学校。クラスに
はスケ番気取りの女子もいて多少手を焼かせるが、それより
問題なのは、娘がスケ番グループの一員なのに、全てを学校
のせいにしてしまうモンスターペアレントの母親の方だ。
そんなクラスの女性担任が妊娠する。その情報に嫌悪感を募
らせるスケ番グループの女子たち。そして彼女たちは「先生
を流産させる会」を結成し、先生の給食に毒物を混入するな
ど計画を実行し始める。
それに対して教師は、女性として母親として真向から事態に
立ち向かおうとするが…
実際の事件では、教育委員会は「あくまで稚拙な悪戯」とい
う見解で事態を納めたようだが、ネット上などではもっと厳
重な処分を求める声も多かったという。しかし本作は、さら
に根本的な部分から事件を見つめ直そうという作品だ。
そこには上記のモンスターペアレントのような現在の教育現
場の抱える様々な問題が提起され、さらにそこで今の教師た
ちの取るべき態度がアンチな部分も含めて描かれている。そ
れは真摯な作品とも言えるものだ。

[5]続きを読む

03月25日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る