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On the Production
by 井口健二
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■虹色ほたる、宇宙戦艦ヤマト2199、ミッドナイト・イン・パリ、私の叔父さん、ソウル・サーファー、ベイビーズ、ロボット+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『虹色ほたる』
インターネットのホームページに連載していた小説が評判を
呼んでデビューしたという小説家川口雅幸のデビュー作を、
テレビアニメ『ワンピース』のシリーズディレクターなどを
務める宇田鋼之介監督がアニメーション化した作品。
主人公は、小学校の高学年くらいの男子。その少年が山間の
ダムを臨む森に昆虫採集にやってくるところから物語は始ま
る。しかし父親に教えられたらしい採集の方法は、少年には
中々上手く行かないようだ。
そんなとき不思議な老人に出会った少年は持参の飲物を分け
与えるが、やがて帰ろうとした少年は、老人が予告した出水
に巻き込まれてしまう。そして失神した少年がふと目を覚ま
すと、そこは谷間に村落の広がる山の中腹だった。
しかも従兄弟と自称する少女の家に招じ入れられた少年は、
そこが1977年と知り、再び現れた老人からは現代に戻す手続
きが済むまで、その場所に留まるよう言われてしまう。こう
して少年には思いがけない1977年の夏休みが始まる。
それは、昆虫採集に打ち上げ花火、夜店、夏祭り、友情、そ
して淡い初恋など、現代では体験できないような素晴らしい
日々だったが…。やがてその場所に隠された秘密が明らかに
なって行く。
1977年というと、アメリカでは『スター・ウォーズ』が公開
された年で、自分的にはそれほど大昔という感じではないの
だけれど、世の中はこんなに変わってしまったのだというこ
と改めて感じてしまう作品だった。
確かに当時の生活はこんな感じだったのかもしれない。それ
が現代とは掛け離れて違って見えるのは、その時代を体験し
てきた者には、その間に失ったものを考えると、何とも遣る
瀬無い感じもしてしまった。
脚本は、2007年4月紹介『夕凪の街、桜の国』や2009年5月
紹介『刺青/匂ひ月のごとく』などの国井桂。また、音楽を
松任谷正隆、主題歌を松任谷由実が担当している。
ただ物語の展開では、少年の父親と少女の遭遇した出来事の
関係が明確でなく、これでは被害者のはずの少年の父親が加
害者にも見えてしまう。また結末も時代設定をもう少し明白
にしないと、これだけでは観客の多くにその意味が伝わらな
い感じがした。
でもまあ、最近の日本のアニメーションではこんな感じの作
品が多いから、これはこれで良いのかも知れないが、やはり
物語は明確に伝えて欲しいとは感じてしまうところだ。

『宇宙戦艦ヤマト2199』
1974年放送されたテレビアニメの第1作がオリジナルと同じ
全26話の構成でリメイクされ、その第1話、第2話が第1章
として4月7日より全国10館の映画館でイヴェント上映され
る。その試写が行われた。
1974年のオリジナルの第1話は、その年の8月に開催された
SFフェスティバルの会場でも上映され、その時の観客席の
興奮ぶりは結構鮮明に憶えている。しかし本放送は日曜日の
夜、しかも裏番組が実写の特撮もので、個人的にはあまり注
目することはなかった。
しかし作品はその後に高い評価を呼び、今では日本のアニメ
ブームの先駆者とも呼ばれているようだが、上記の理由で僕
自身にはあまり思い入れがある訳ではない。このため以前に
はどちらかというと批判的なコメントをしていたこともあっ
たものだ。
そんな作品だが、今回見直してみると、物語的には若者の成
長を描いたsagaであり、内容的にはあるものを捜すquestで
あって、これらは1974年の放送当時より、今の方が理解され
やすいのではないかとも思えるものだ。
ただし、以前のブームの頃にも気になった好戦的で戦争を是
とする思想テーマ的なところは変わっておらず、その点には

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03月04日(日)
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