ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■へんげ、夢の教室、FLY!、幸運の壺、ヤング≒アダルト、トテチータ、スーパー・チューズデー、ももへの手紙、僕達急行
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『へんげ』
東京の映画美学校という映画学校を、2008年に修了した大畑
創監督による商業作品では第1作となる作品。
郊外の住宅地で暮す若い夫婦の夫が、突然身体を「く」の字
に折り曲げ、野獣のような咆哮を発する発作に襲われるよう
になる。そして夫の勤務先でもあった大学病院でも原因が判
らない奇病に、病院は実験動物のように夫を扱い始める。
そして病院から逃亡してきた夫を妻は匿うことにするが、夫
はさらなる変貌を開始する。その行き着く先は…
この種の変身ものは過去にもいろいろな作品が発表されてい
るが、本作ではそこに夫婦愛などのテーマを織り込んで、少
し違った側面からも描こうとしているようだ。ただまあ、上
映時間54分の作品では充分に描けているわけではないが。
ただし本作ではもう一つ大きな捻りがあって、その手の方向
性が好きな人には結構頷ける作品になっていた。それは正に
ファンをニヤリとさせるもの。ただしそれを本当に好む人が
どれだけいるのかというところにはなるが、少なくとも僕は
ニヤリとし満足できた。
出演は、劇団STRAYDOG所属の森田亜紀と、2006年4月紹介北
野武監督の『ドールズ』などに出演の相澤一成、他に舞台俳
優の信國輝彦らが脇を固めている。
また、2006年『日本沈没』などに参加した田口清隆が特技監
督を務めてなかなかのクライマックスを描いている。他にも
東京藝術大学大学院准教授の長嶌寛裄が音楽を担当している
など、本作には多彩な顔ぶれが集まっているようだ。
映画は途中オカルトめかした方向を示すなどいろいろ捻った
趣向も取っており、全体として楽しむことができた。
なお3月10日からの公開では、監督による映画美学校での修
了作品『大拳銃』(上映時間31分)も併映される。この作品
もDVDで観させて貰ったが、経営の行き詰まった町工場の
工場主がやくざと関り、密造拳銃に手を出すという内容で、
ここではメカフェチ風の捻りが面白かった。

『ピナ・バウシュ/夢の教室』“Tanzträume”
2011年10月紹介『Pina』がアメリカアカデミー賞長編ド
キュメンタリー部門の候補になっているドイツの舞踊家ピナ
・バウシュを描いた別のドキュメンタリー作品。
1940年生まれのピナ・バウシュは2009年に急逝し、先に紹介
したヴィム・ヴェンダース監督の作品は、舞踊家の死後に彼
女が振り付けたダンスを再現し、アーカイヴの映像と共に彼
女の業績を検証するものだった。
それに対して本作は、2008年、すなわち彼女の死の前年に自
らの代表作である「Kontakthof」を14〜17歳の素人の若者た
ちに演じさせるという試みを記録したもので、そこには40人
もの若い男女が集められ、10カ月でダンスを完成させて行く
様子が描かれる。
元々「Kontakthof」というダンスは、男女の微妙な関係を描
くもので、それは成熟した男女には予めの理解があって創作
されて行くが、経験の少ない若者たちにそれをどのように演
じさせるのか、それが計画の目論見でもあったのだろう。
因にピナは、2000年には65歳以上の男女に演じさせることも
行ったそうで、正に全てを知り尽くした老人たちの後で、今
度は何も知らない若者たちに同じことを演じさせようという
ものだ。
またそこには、黒人やロマ(ジプシー)や、いろいろな状況
を抱える若者たちがいて、彼らの思いもインタヴューで挿入
され、10カ月の間に成長を遂げて行く姿も描かれる。そして
そこにピナ・バウシュ本人も加わって、若者たちを導きダン
スを完成させて行く。
最初は男女が触れあうことにも恥じらい見せていた若者たち
が、徐々に大胆に演じるようになって行く。そんな成長の様

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02月05日(日)
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