ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■桃まつり5、長ぐつをはいたネコ、誰も知らない基地のこと、311、レンタネコ、孤島の王、超能力者+Oscar/nomination
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『桃まつり〜すき〜』
2008年2月、2009年1月、2010年1月にそれぞれ紹介した女
性監督たちによる短編作品集「桃まつり」の2012年版の試写
を観せて貰った。因に昨年は開催されなかったとのことで、
今回は5回目(初回は僕が観ていない)になっている。
その2012年版は「すき」をテーマに、各々3本×3プログラ
ムの計9作品が3月17日から渋谷のユーロスペースにて公開
される。
「壱のすき」
『帰り道』(監督・竹本直美):監督の作品は第1作から全
作を鑑賞させて貰ったが、演出も構成も安定している。本作
は第1作にちょっと似たところがあって、それが今年の場合
は3/11以降の日本人皆が感じた故郷回帰の心情にマッチし
ているものだ。
都会で働いてきた女性がやむを得ず戻ってきた故郷の風景の
中、ふと幼い頃を思い出す、そんな心情が丁寧に描かれてい
る。出演者にベテラン俳優を持ってきたのはちょっとずるい
感じもするが、その安定感が特に短編映画には良い感じを与
えていた。
『フィガロの告白』(監督・天野千尋):夏休みの1日、秘
密基地に集まった中学男子4人組は女子の話で盛り上がり、
それぞれ意中の女子に告白を決行するが…。出演している子
役たちの演技も自然で、演出は短編らしくテンポも軽快でリ
ズム感もあり、結末も良い感じだった。
『the place named』(監督・小森はるか):ソートン・ワ
イルダーの戯曲「我が町」をもとに、その第3幕を稽古して
いる劇団員と、彼らの心象とも言える田舎町に暮らす女性の
姿が交互に描かれる。オリジナルの芝居は知らなかったが、
途中でその舞台の設定が理解されると作品の印象がかなり変
わってくる。不思議な感覚の作品だった。
「弐の好き」
『春まで十日間』(監督・ステファニー・コルク):3/11
を背景に、海外にいて被災地に住む家族を心配する女性の心
情が描かれる。その心情は、主に女性が被災地の母親の留守
番電話に吹き込むメッセージで綴られるが、そこから観えて
くるものがかなり深く、それはなかなか巧みな作品に感じら
れた。
『口腔盗聴器』(監督・上原三由樹):かなり際どい内容の
作品で、女性監督だと知らなかったら少し考えてしまうとこ
ろかもしれない。でもまあこのような設定で、操っていると
思っている側が、実は操られているというのは面白くはある
ものだ。ただし結末がちょっと何なのか…。DVDを借りて
見直したが意味が良く判らなかった。
『最後のタンゴ』(監督・熊谷まどか):監督の作品歴を観
て、『ロールキャベツの作り方』という作品を2004年12月紹
介の『Movies-High #5』で観せて貰っていることに気がつい
た。そのときも上手いと思ったが、今回もかなり洒落た作品
だ。特に途中のホラーめかした辺りが僕的には好ましい感じ
がした。
「参のすき」
『さめざめ』(監督・星崎久美子):この監督の作品も09年
9月紹介『ゼロ年代全景』の中で観ている。内容的にはその
ときの作品と似ているようにも感じるが、この監督の継続的
なテーマなのかな。前半のポストイットで会話するという展
開は、男女の本音がストレートに出ている感じでかなり面白
かった。
『LATE SHOW』(監督・佐藤麻衣子):雑居ビルの屋上に置
かれたプロジェクターで映画を上映している若者と、そのビ
ルの前の道に屯するバイカーの少女の姿を描いた作品。昨年
10月に紹介したアミール・ナデリ監督の『カット』にも同じ
ようなシーンがあったが、ビルの屋上には独特の雰囲気があ
るものだ。それはいいがお話が良く判らなかった。
『SAI-KAI』(監督・名倉愛):チンピラやくざの男が幼馴
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01月29日(日)
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