ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460095hit]
■昼下がりローマ、おとなのけんか、ジャックとジル、忘れられた夢、タッカーとデイル、51、レッド・ティアーズ、POV+Oscar/Makeup
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『昼下がり、ローマの恋』“Manuale d'amore 3”
2007年5月に『イタリア的、恋愛マニュアル』を紹介してい
るジョヴァンニ・ヴェロネージ監督、脚本によるシリーズの
第3弾。2005年製作の上記作品の後には、2007年に第2弾が
製作され、同作は『モニカ・ベルッチの恋愛マニュアル』の
邦題で公開されたようだ。
そして第3弾では、ローマの街に建つアパートを舞台に青年
と熟年、そして老境の3人の男性の恋愛事情が紹介される。
その1人目の主人公は青年弁護士。恋人と結婚してアパート
で一緒に暮らすことを夢見る彼は、トスカーナで進むゴルフ
場開発で土地の買収に応じない一家の説得に向かう。ところ
がそこで彼は飛び切りの美女に出会ってしまう。
2人目はテレビで人気者のニュースキャスター。妻も娘もい
るそんな彼が、出席したパーティで1人の女性と知り合いに
なる。そしてかなり積極的な女性と携帯番号を交換し、彼女
は精神科医と名告るのだが…
3人目は、アメリカからやってきた引退した大学教授。彼は
アパートの管理人や住人の女性たちと共にワインパーティを
楽しんでいたが、その席でパリに行っていた管理人の娘が突
然帰ってくることを知る。しかしその娘にはいろいろ秘密が
あるようだった。
こんな物語が、2005年6月紹介『輝ける青春』などのリッカ
ルド・スカマルチョ、シリーズ全作に出演のカルロ・ヴェル
ドーネ、そしてロバート・デ・ニーロ、モニカ・ベルッチの
配役で描かれる。
他に、2010年9月紹介『シチリア!シチリア!』に出演のミ
ケーレ・プラチドとラウラ・キアティ、2002年東京国際映画
祭で最優秀女優賞受賞のドナテッラ・フィノッキアーロらが
共演している。
僕自身は、年代的には後の2作の主人公に近いが、やはり物
語的には最初の作品に牽かれるかな。監督自身がトスカーナ
地方の出身とのことで、その風景や人々の描き方にも愛情が
籠もっているようにも感じられた。
ただし、2007年の紹介のときにも書いたが、イタリア人の恋
愛に対する情熱にはただ頭が下がるばかり、これは僕らには
真似できない。
『おとなのけんか』“Carnage”
昨年7月紹介『ゴーストライター』でベルリン国際映画祭・
監督賞受賞のロマン・ポランスキー監督による最新作。ポラ
ンスキーが1988年にパリで演出した『変身』の上演にも協力
した劇作家ヤスミナ・レザの原作でオリヴィエ賞、トニー賞
受賞の舞台劇の映画化。
物語の背景はニューヨーク。子供同士の喧嘩で相手に怪我を
負わせてしまった加害者側の子供の両親が、被害者側の子供
の家に謝罪にやってくる。そこで供述書を取り交わし、円満
にことが終りそうになった辺りから物語は開幕する。
そこでちょっとコーヒーでもとなるのだが…。そこに加害者
側夫妻の夫の携帯に会社からの連絡が入り始め、さらに被害
者側夫妻の夫の母親からの電話や、コーヒーと共に出された
ケーキなどが、互いの間に行き違いを生じさせ始める。
そして徐々に興奮が高まり、互いの本音が見え始めて…。最
初は如何にも冷静にことを済ませようとした2組の夫妻が、
被害者−加害者の間だけでなく、それぞれの夫婦間の諍いま
で噴出させてしまう。
自分はこんな風にはなりたくないなあ…とは思いつつも、人
間なんて所詮こんなものかなあ…とも思ってしまう。そんな
人生の機微ではないけれど、人間の本性みたいなものが巧み
に描かれた作品だ。
出演は、いずれもオスカー受賞者のジョディ・フォスター、
ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、それにノ
ミネーターのジョン・C・ライリー。プロローグとエピロー
[5]続きを読む
01月15日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る