ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■マイウェイ、はやぶさ遙かなる帰還、BUNRAKU+Star Trek,Oscar/VFX,VES Awards nominations
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『マイウェイ』“마이웨이”
2002年6月紹介『銀杏のベッド』などのカン・ジェギュ監督
の最新作。因に監督作品は、1999年の『シュリ』、2004年の
『ブラザーフッド』に続く4作目のものだ。
物語の背景は日本統治時代の韓国。両親と共に軍人の祖父の
許にやってきた足の速さが自慢の日本人少年は、その家の使
用人の韓国人の息子と速さ競うことになる。やがてそれは、
1940年開催予定だった東京オリンピックのマラソン代表も競
うことになるが…
その代表決定戦によって韓国人の青年は懲罰的に関東軍に徴
収され、日本軍の軍服を着ることになる。そしてノモンハン
に送られた韓国人青年は、司令官として現れた日本人青年と
再会し、共にソ連軍の捕虜となり、さらに対独ヨーロッパ戦
線に送られる。
斯くして日本軍、ソ連軍、ドイツ軍の軍服を着ることになっ
た日韓2人の、共にマラソンランナーを目指した青年たちの
数奇な運命が描かれる。
昨年最後に紹介したスピルバーグ監督の『戦火の馬』では、
1頭の馬がイギリス軍とドイツ軍の間で翻弄されたが、本来
意志の無い動物なら兎も角、意志を持った人間が如何にして
3つの軍服を着るようになるのか、その経緯にも興味を牽か
れる作品だった。
その経緯はなるほどと思わせたが、さらにそこから引き出さ
れる結末の見事さには、これは正にしてやられたという感じ
もする作品だった。しかもプロローグとの連携が見事に決ま
った作品とも言える。
出演は、2005年12月紹介『PROMISE』などのチャン・ドンゴ
ンと、2009年1月紹介『PLASTIC CITY』などのオダギリジョ
ー。さらに昨年11月紹介『運命の子』9月紹介『真少林寺』
などのファン・ビンビン。
他に昨年9月紹介『クイック!!』などのキム・イングォン、
2006年11月紹介『百万長者の初恋』などのイ・ヨニ。また、
日本側から、佐野史郎、夏八木勲、鶴見辰吾、山本太郎、浜
田学らが共演している。
軍隊の描き方がかなりステレオタイプなのは、日本軍もソ連
軍もドイツ軍も所詮は同じという監督の考えを反映したもの
だろう。軍隊という組織の愚かしさがそれによってより明瞭
化されていることも確かだ。
そんな愚かしさに翻弄されても夢と希望を持って打ち勝って
行く主人公たちの鮮烈な姿が描かれている。撮影は、韓国か
らヨーロッパ西岸(撮影はノルマンジーではないが)まで実
際にユーラシア大陸を横断して行われたようだ。
『はやぶさ 遙かなる帰還』
昨年11月にも3D作品の『おかえり、はやぶさ』を紹介した
が、それに続いて宇宙探査機「はやぶさ」に関った人々の姿
を描いたドラマ作品。
先に紹介した作品は人間ドラマの部分がフィクションだった
が、本作はノンフィクション作家・山根一眞の原作「はやぶ
さの大冒険」に基づくもので、その人間ドラマは実話に近い
もののようだ。
そして本作では、2003年5月9日鹿児島県内之浦での「はや
ぶさ」を搭載したロケットの打ち上げから、2010年6月14日
オーストラリア・ウーメラ砂漠でのカプセル回収までの出来
事が、取材した女性記者の目を通して描かれて行く。
その出来事は事実の通りなのだから、先に紹介した作品でも
本作でも変わりはないが、それぞれの事実関係の微妙な取捨
選択が物語を違うものにしている。それは特に主人公を先の
作品では技術者にし、本作では学者としたことで顕著なもの
になっている。
とは言え映画の眼目は人間ドラマではなく宇宙のミッション
になってしまうのだが、それを見詰める目の違いがそれぞれ
違う側面を描き出しているのは、面白く観ることもできた。
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01月08日(日)
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