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On the Production
by 井口健二
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■シネマ歌舞伎・天守物語/海神別荘、マリリン・7日間の恋、ヘルプ・心がつなぐストーリー+年頭挨拶・ベスト10
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『シネマ歌舞伎・天守物語』
『シネマ歌舞伎・海神別荘』
坂東玉三郎演出・出演による泉鏡花原作の幻想譚の舞台がH
D撮影され、シネマ歌舞伎の第15弾、第16弾としてそれぞれ
1月21日及び2月18日から全国公開される。
まず『天守物語』の舞台は姫路白鷺城。登場するのはその最
上階に住まう異形のものたち。舞台は幕開けでその天守から
侍女たちが釣りをしているという異様な光景が登場し、しか
も釣っているのは魚ではなく草花、餌は朝露と紹介される。
そんな最初から怪しい物語で、前半では天守を訪れた猪苗代
の亀姫との宴などが描かれ、後半では「生者は訪れてはなら
ぬ」との禁を破って天守に赴かざるを得なかった若い侍との
交流が描かれる。
出演は、天守夫人に玉三郎、若い侍に市川海老蔵。他に中村
獅童、中村勘太郎らが脇を固めている。
後半の天守にやってきた若い侍が魑魅魍魎に追われるシーン
などは、解り易く幻想的で楽しめる。しかし僕が目を見張っ
たのは巻頭のシーン。侍女たちが舞台の縁に釣り糸を垂れて
次々に草花を釣り上げるという情景には、一気に物語に引き
摺り込まれる感じがした。
元々の鏡花が著わした戯曲は、と書きが詩のようで具体的に
は書かれておらず、玉三郎はそこから感じ取ったものを舞台
に描いたとのことだが、そんな幻想的なシーンが見事に表現
されていた。
そして『海神別荘』は、海底の宮殿に住む公子が地上の美女
を見初め、彼女を海底に迎えようとするお話。美女の親には
公子の遣いが金品や漁獲を渡してそれを了解させるが、貢ぎ
物のようにされた美女本人は地上への未練を残している。
そして海底にやってきた美女に、公子は海底の素晴らしさと
自分の思いを伝え、美女を説得しようとするのだが…。そん
な舞台が、美術に天野喜孝が起用され、さらに伴奏音楽には
ハープが使われるなど、通常の歌舞伎とはかなり異なる趣で
描かれる。
出演は、公子役に市川海老蔵、美女役に玉三郎。他に市川門
之助、市川猿弥らが脇を固めている。
なお、玉三郎はこの2作と『夜叉ヶ池』を合せて泉鏡花3部
作と称しているようだが、残念ながら『夜叉ヶ池』の舞台は
シネマ歌舞伎では上映されない。しかし今回は『高野聖』が
第17弾として公開が決定しており、その作品も後日紹介でき
る予定だ。
つまりSF/ファンタシーのファンにとっては、日本幻想文
学の先駆者でもある泉鏡花の作品が3本連続で公開されるも
のであり、これはファンならずとも見逃せない上映になりそ
うだ。
また、これらの作品の上映では巻頭に玉三郎による解説が付
けられており、作品への理解がより進むように配慮がされて
いる。その玉三郎の思いが伝わる解説も聞き物だ。

『マリリン・7日間の恋』“My Week with Marilyn”
1956年、マリリン・モンローが自ら製作も手掛けた『王子と
踊り子』の撮影のために訪れたイギリスでの出来事を描いた
コリン・クラーク原作の映画化。
英国王室とも関わりのある名家の出身だった当時23歳の主人
公コリンは、映画界に憧れてローレンス・オリヴィエのプロ
ダクションを訪れる。そこではアメリカからマリリン・モン
ローを迎える新作の準備に大童だった。
そこで機転を利かせたコリンはプロダクションに迎え入れら
れ、モンローのイギリスでの宿舎の手配などに手際の良い働
きを見せる。そしてモンローが新婚の夫アーサー・ミラーと
共にロンドン空港に降り立ち、映画製作が開始されるが…
映画では、伝統的な演劇スタイルを守ろうとするオリヴィエ

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01月01日(日)
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