ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ルルドの泉、人生はビギナーズ、インモータルズ、デビルズ・ダブル、UGLY、スイッチ、ウクレレ、ジョージ・ハリスン+Oscar/Animation
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ルルドの泉で』“Lourdes”
フランス南部スペイン国境ピレネー山脈の麓にあるキリスト
教の聖地ルルドを舞台に、奇跡について描いた作品。脚本・
監督を手掛けたジェシカ・ハウスナーは、本作により2009年
ヴェネチア映画祭で4部門の受賞に輝いている。
年間500−800万人が訪れるという聖地ルルド。そこは1858年
に聖母マリアが出現した場所と言われ、またその聖母マリア
が教えたという泉には、不治の病をも直す奇跡の力があると
されている。
そんな聖地を訪れた巡礼団。その中に首から下が麻痺して、
食事や車椅子の乗り降りから就寝まで、全てに介助が必要な
主人公の姿があった。そして巡礼団はてきぱきとしたリーダ
ーが率いるボランティアの女性たちと、マルタ騎士団に迎え
られるが…
この主人公を中心に、周囲の巡礼団やボランティア、騎士団
の人々のドラマが展開されて行く。そしてルルドの泉の奇跡
が起きた時、周囲の人々に微妙な波紋が広がる。
物語の舞台はキリスト教の聖地で、それは宗教的な意味合い
のものもいろいろと描かれるが、映画自体は宗教臭いもので
はなく、奇跡が起きたときの人々の反応などが純粋に描かれ
ている。むしろ最近の若者の宗教離れみたいなものも描いて
いる感じだ。
しかし作品は、実に20年ぶりにルルドの泉での現地撮影が実
現しているもので、そのために監督らは1年を掛けて周到な
リサーチやインタヴューを行い、関係者に納得の行く準備を
行ったとのことだ。
従って作品では、ルルドの街や泉の周辺の壮麗な建物、また
奇跡を認定する医療機関の仕事ぶりなども丁寧に描かれ、一
面ではドキュメンタリーの様な作りにもなっている。僕自身
はルルドに関してそれなりの知識を持ってはいたが、その実
像が観られたのは面白かった。
主演は、本作でヨーロッパ映画祭主演女優賞を獲得したシル
ヴィー・テステュー。彼女は2007年7月紹介『エディット・
ピアフ愛の賛歌』でセザール賞助演女優賞も受賞している。
他に、2007年3月紹介『不完全なふたり』などのブリュノ・
トデスキーニ、2010年9月紹介『ロビン・フッド』などのレ
ア・セドゥらが共演。
宗教的な話は別にして、ルルドの町並や聖地の風景など、観
光映画としても楽しめる作品だった。

『人生はビギナーズ』“Beginners”
ユアン・マクレガーとクリストファー・プラマー。現在の映
画界を代表しているともいえる2人の俳優が、新たな人生を
始める勇気と、そのやり方を教えてくれる人間ドラマ。
主人公は38歳独身のアート・ディレクター。人見知りな性格
で人付き合いはあまりせず、友達は仕事だけという男性だ。
そんな男性の父親が突然ゲイをカミングアウトする。それは
44年連れ添った妻に先立たれた後のことだった。
実は、主人公が人見知りなのは彼の両親にも理由があった。
一見仲は良さそうだが実態の無い夫婦関係。それは子供の目
からも明かな、空虚な夫婦生活だったのだ。そんな両親を観
て育った主人公には他人を愛することができなかった。
しかしカミングアウトをしてからの父親の変身ぶりが彼を少
しずつ変えて行く。そして最後の時を迎えた父親が彼に語っ
た真実は…。それは彼に勇気を与え、ついに女性との関係も
築くことができるようになるが。
脚本と監督は、2006年6月紹介『サムサッカー』などのマイ
ク・ミルズ。実は監督の父親が、本作と同様に75歳でゲイを
カミングアウトしたのだそうで、本作は監督自身の物語でも
あるようだ。
共演は、2010年2月紹介『オーケストラ!』などのメラニー
・ロラン、1998年『ウェルカム・トゥ・サラエボ』などのゴ

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11月06日(日)
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