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On the Production
by 井口健二
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■吉祥寺の朝日奈くん、CUT/カット、ウォーキング・デッド、月光ノ仮面、人喰猪、ミツコ感覚、宇宙人ポール、天皇ごっこ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『吉祥寺の朝日奈くん』
恋愛小説で人気が高いという中田永一原作(祥伝社刊)同名
小説の映画化。
舞台は東京都下の吉祥寺。井の頭公園や動物園、神田川など
を背景に、ちょっとほろ苦い男女の恋愛物語が展開される。
主人公は、前は演劇を目指していたらしいが今はフリーター
の若者。その若者が喫茶店で働く少し年上の女性に憧れの眼
差しを向け、ある切っ掛けから話を交わすようになる。しか
しその女性は既婚で、1人娘もいる境遇だった。
ところがその女性の夫は、時折暴力も振るうと言い、徐々に
親しくなった2人は、吉祥寺の街でデートを重ねて行く。そ
んな若者には、元バイト先の先輩だった男のアドヴァイスも
あって恋を進展させて行くのだが…
この主人公を、2008年2月紹介『カフェ代官山』などの桐山
漣が演じ、共演は2009年8月紹介『携帯彼氏』などに出演の
星野真里。他に要潤、柄本佑、田村愛、徳井優、水橋研二ら
が脇を固めている。また平澤宏々路という子役もなかなかの
演技だった。
まあ、お話自体は他愛もないものだが、展開にはちょっとし
た捻りもあり、それなりに面白く観ることができた。それに
僕にとって吉祥寺は知らない街ではないし、その風景がいろ
いろ出てくると、それだけでも親しみが湧いてくるものだ。
監督は、テレビで『サラリーマン金太郎』や『ケータイ刑事
・銭形泪』を担当してきた加藤章一による劇場映画デビュー
作。脚本は、2010年『森崎書店の日々』では脚本と監督も務
めている日向朝子。音楽は『森崎書店…』も手掛けた野崎美
波が担当している。
脚本は壺を得て、演出も落ち着いて嫌みもない。またピアニ
カなども使った音楽も心地よい感じのものだった。それがそ
れ以上でもなく、それ以下でもないのが、多少物足りない感
じではあるが、まあそういう作品なのだろう。
そこに人気の高い原作ファンの動員が掛かれば…。一般公開
は11月19日から、地元の吉祥寺バウスシアターと渋谷ユーロ
スペースを皮切りに、全国順次ロードショーとなるようだ。
『CUT/カット』
“Vegas: Based on a True Story”という作品が、2008年の
ヴェネチア映画祭で名誉賞を受賞しているイラン出身アミー
ル・ナデリ監督の新作。本作も今年のヴェネチア映画祭でオ
リゾンティ部門のオープニングを飾っている。
そのナデリ監督が脚本と編集も手掛けた本作は、日本のやく
ざ事務所を舞台に、そのやくざによって兄を殺された日本人
映画監督の壮絶な姿が描かれる。
主人公は自主映画を作り続けているが、なかなか上映の機会
を得られない映画監督。その彼は娯楽映画一辺倒の日本映画
界の現状を憂えており、独自に名作の上映会なども開いてい
るが、その開催場所も条令などで規制が厳しくなっているよ
うだ。
そんな彼には資金の援助をしてくれる兄がいたが、ある日、
その兄が死んだとの知らせが届く。そしてやくざ事務所に呼
ばれた主人公は、兄が借金を返せず、その制裁で殺されたこ
とを告げられ、主人公にはその借金の返済を迫られるが…
こうして兄の援助資金の出所を知った主人公は驚愕し、同時
にその金額が現在の自分には到底返せない額であることも知
る。そこで主人公が思い付いた返済の方法は…、それは兄と
映画への思いを込めた究極の手段だった。
脚本はナデリ監督のオリジナルだが、クレジットには共同脚
本として2007年8月紹介『サッド・ヴァケイション』などの
青山真治監督の名前が記載されていた。またスペシャル・ア
ドヴァイザーとして2003年1月紹介『アカルイミライ』など
の黒沢清監督の名前も掲載されていた。
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10月09日(日)
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