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On the Production
by 井口健二
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■永遠の僕たち、明日泣く、東京オアシス、密告者、灼熱の魂、一谷嫩軍記、エイリアン・ビキニの侵略、コンテイジョン、ラブ・アゲイン
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『永遠の僕たち』“Restless”
昨年急逝した俳優デニス・ホッパーの遺児のヘンリー・ホッ
パーと、『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコ
ウスカ、それに日本から加瀬亮の共演で、昨年9月紹介『神
の子どもたちはみな踊る』には俳優として参加していたジェ
イソン・リュウのオリジナル脚本を映画化した作品。
この脚本から2008年『MILK』などのガス・ヴァン・サントが
監督し、また製作は、9月紹介『フィフティー・フィフティ
ー』などのブライス・ダラス・ハワードが初プロデュースを
手掛けている。
ホッパーが演じるのは、ある出来事から死に取り憑かれた若
者。彼は葬儀所に遺族のような顔をして入場し、いろいろな
葬儀の模様を見て廻るのが趣味だ。そんな彼の脇には、加瀬
扮する戦死した特攻隊員の亡霊が寄り添っていた。
その主人公が窮地に陥ったところを1人の少女に救われる。
その少女には秘密があり、その秘密を共有することになった
主人公は、彼女を愛するようになって行くが…。そこには主
人公が乗り越えなければならない現実があった。
プレス資料に掲載された加瀬のインタヴューによると、基に
は脚本家の描いた絵本があり、そこでは亡霊がいろいろな死
に取り憑かれた子供たちの許を訪れ、その子供たちを救って
行くが、最後に訪れたのは最大の難関だった…、というもの
だったそうだ。
その原作からリュウ本人が脚色した本作では、亡霊が訪れる
最後の難関だけを抽出して、そこには人の死を巡る様々な思
いが見事に凝縮して描かれていた。
最近、何となく死に纏わる話を連続して観ているような気が
するが、一方で不死性を持つヴァンパイアの話がブームにも
なっているハリウッド映画で、この流れには興味も感じると
ころだ。
なお、本作の音楽は『MILK』と『アリス…』も手掛けたダニ
ー・エルフマンが担当して、繊細な楽曲を聞かせてくれる。
また、衣裳を『MILK』などのダニー・グリッカーが担当し、
こちらも素晴らしいものになっていた。
『明日泣く』
1980年代に筒井康隆原作の『俗物図鑑』『スタア』などを発
表した内藤誠監督が、23年振りに手掛けたという長編作品。
色川武大原作による同名の自伝的小説の映画化。
主人公は、高校生時代から賭け麻雀屋などに出入りしていた
若者。しかし将来の目標は小説家で、学校ではいつも1人で
読書に耽ったり、喫茶店でノートに下書きを綴ったりしてい
る。そしてその同級生には、天才的にピアノを弾く女生徒が
いた。
やがて主人公は、応募した小説が新人賞に入選し、編集者も
付くが、それ以降は1行も書けず、金を前借りしてはギャン
ブル場に入り浸る日々が続いていた。そんなある日、彼は立
ち寄ったバーで、前座のピアノを弾く女性に目が留まる。
そして主人公は、トラブルで高校を退学した後の、彼女が送
ってきた数奇な人生の取材を始めるが…。
この主人公を、2008年8月紹介『春琴抄』などの斎藤工が演
じ、ピアニスト役には昨年3月紹介『パーマネント野ばら』
に出ていたという汐見ゆかり、それにジャズメン役で、バン
ド「勝手にしやがれ」のリーダーの武藤昭平。
他に島田陽子、梅宮辰夫、色川文学に精通する文芸評論家の
坪内祐三らが特別出演している。また主人公付き女性編集者
役に起用されているのは、監督の大学での教え子だそうだ。
さらに音楽を、『嫌われ松子の一生』で日本アカデミー賞を
受賞のジャズピアニスト渋谷穀が担当し、バンド「勝手にし
やがれ」や、渋谷が招集したメンバーなど、新旧のジャズミ
ュージシャンによる演奏が作品を彩っている。
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10月02日(日)
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