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On the Production
by 井口健二
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■50/50、家族の庭、牙狼、スパイキッズ4D、フェア・ゲーム、スクリーム4、第7鉱区、私だけのハッピー・エンディング+Lone Renger
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『50/50 フィフティー・フィフティー』“50/50”
27歳で5年後生存率50%のガン告知を受けた男性を主人公に
した人間喜劇。
脚本のウィル・レイサーは、今年1月紹介『グリーン・ホー
ネット』に主演のセス・ローゲンらと共に、サシャ・バロン
・コーエン主演のコメディ番組“Da Ali G Show”を手掛け
ていた頃にガンを患い、その実体験に基づいて本作を書き上
げた。
その映画化に僕は、同病の患者やその家族のことを思うと、
試写会で初端から大笑いしていた人たちのようには、そう簡
単に笑えるとは思えなかった。しかし映画を観ている内に、
脚本家が作品に込めた想いのようなものが伝わってきて、途
中からは時に涙したり、普通に笑うこともできた。
主人公は、地元のラジオ局で番組制作に携わっている男性。
真面目な彼はテーマに真剣に取り組むため、手掛けている番
組の制作はなかなか進まない。しかし私生活では新進芸術家
のガールフレンドもいてそれなりに充実していた。
ところが、腰の痛みが気になってした受診で思いも掛けない
ガンが発見され、そのガンは、このままでは5年後生存率が
50%であることが判明する。こうして闘病のためのセラピー
や苦しい抗ガン剤治療などが始まるが…
さらに彼を待ち受けていたのは、献身的であろうとするガー
ルフレンドとの諍いや、認知症の夫を抱えながらも息子のた
めに何かをしようとする過保護な母親、それに彼の世話を焼
こうとしては失敗するお調子者の親友の存在だった。
主演は、今年5月紹介『メタルヘッド』などのジョセフ・ゴ
ードン=レヴィット。他に、製作も務めるセス・ローゲン、
今年4月紹介『スコット・ピルグリム』などのアナ・ケンド
リック。さらにブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ
・ヒューストンらが脇を固めている。
監督は、2008年のサンダンス映画祭で“The Wackness”とい
う作品が観客賞を受賞しているジョナサン・レヴィン。本作
が長編3作目の監督だが、曲者の俳優たちを向こうに回して
的確な演出をしている感じだ。
確かに厳しい内容の作品だが、本作ではそんな状況の中でも
強く生きようとする主人公=脚本家本人の気持ちが伝わって
くる。笑いがガンに効くという話もあるし、ここは脚本家の
気持ちに同調して笑うべき作品のようだ。
『家族の庭』“Anther Year”
1996年『秘密と嘘』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールを
受賞しているマイク・リー監督による2010年の作品。本作も
カンヌに出品された。
主人公は、地質学者の夫と、病院で医学カウンセラーをして
いる妻の初老の夫婦。1人息子は30歳でまだ独身だが弁護士
を営みすでに独立している。そんな夫妻は、毎休日には市民
農園で畑仕事を楽しみ、その収穫で友人を招いたパーティも
楽しんでいる。
そのパーティには、妻の同僚の中年女性も招かれているが、
多分40代でバツ1の彼女は毎回現れては自分の男運の無さな
どの愚痴をこぼし、いろいろとトラブルメーカーだ。そんな
夫妻の四季が季節ごとに描かれて行く。
主人公の夫は僕と同年代と思われるが、夫妻の生活ぶりを観
ていると本当に憧れを感じてしまうほど円満で穏やかな日々
が流れて行く。そこにはトラブルメーカーの女性の存在や独
身の息子の心配などもあるが、それはそれなりだろう。
そんな物語が、2時間9分の上映時間の中でじっくりと描か
れる。それは正にごく普通の初老夫妻の日常とも言えるもの
だ。その中にはいろいろな波風もあるが、それでも日々は流
れて行く、そんな感じの作品だった。
それは異国の話ではあっても、日本人の自分たちにも共通の
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09月11日(日)
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