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On the Production
by 井口健二
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■エンディングノート、デビル、カンフー・パンダ2、朱花の月、ナッシュビル、グリーン・ランタン、ワイルド・スピード5+訃報
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『エンディングノート』
是枝裕和監督の下で2009年3月紹介『空気人形』の監督助手
などを務めた砂田麻美が、第1回監督作品として自らの父親
の最後を記録したドキュメンタリー。
その父親は、かつて丸の内に本社のある大手化学会社の営業
畑で取締役にまで上り詰めた。そんな父親は営業マンの常と
して、何事にも段取りを付けなければ気が済まない。その父
親が最後に行ったのは、自らの死への段取りだった。
その切っ掛けはガンの告知。40年勤め上げた会社を定年退職
し、子供たちも独立してこれからが夫婦の時間と思っていた
矢先にガンが発見され、ステージ4に進行していたガンはも
はや手術不可能、余命半年と宣告されてしまう。
しかしその事実を泰然自若と受けとめた父親は、身辺整理や
葬儀の際の連絡先などを自らのエンディングノートとして纏
め始める。そしてそんな父親の姿を娘である本作の監督が冷
静且つ愛情を込めて記録して行く。
僕自身が2年前に父親を送ったばかりで、本作の内容を知っ
たときには冷静に観ていられるかどうか心配になった。しか
し作品はユーモアにも富み、出来れば自分もこんな風に逝き
たいものだとも思わせてくれた。
それはまあ父親の最後を記録するなんて非情な…と思う人も
いるかも知れない。しかしこれは故人の性格があってのこと
もあるが、「こんな風に最後を迎えることもできるのだよ」
という営業マンの最後のプレゼンテーションだったようにも
思える。
そしてこういう父親のいたことがこの作品の全てを支えてい
るものでもあるが、それを娘である監督が丁寧に撮り上げて
いる。さらにそこにエンディングノートに書かれなかった過
去や現在の様々な映像を挿入した構成も、嫌みにならず巧み
に描かれていた。
また、その父親(故人)の心の声を代弁する形の監督による
女声のナレーションも映画全体の雰囲気を柔らかく、心地よ
く包み込んで、これも見事な演出だった。
監督・撮影・編集は砂田麻美、製作・プロデューサーは是枝
裕和。また音楽・主題歌を人気ミュージシャンのハナレグミ
が担当している。

『デビル』“Devil”
2006年9月紹介『レディ・イン・ザ・ウォーター』などのM
・ナイト・シャマラン監督が原案と製作を務めたサスペンス
・ホラー作品。
プロローグはかなり不安感を誘う映像に始まって、続くシー
ンでは高層ビルの前に停車中のトラックの上に何かが落下、
その衝撃でトラックが動き出す。さらにシーンは警察による
事件の捜査へと繋がって行く。
そして捜査官である主人公の閃きが彼を高層ビルへと導いて
行くが、そこでは1台のエレベーターが理由もなく停止し、
その中には5人の男女が閉じ込められていた。それは最初は
何の関わりもない事件のように思えたが…
という発端の展開だが、実はその後も主な事件が起きるのは
エレベーターの中。その事件と主人公との関わりも不明のま
まで、彼がある種の傍観者として物語が進んで行くのは面白
い構成の作品だった。そしてモニター映像などを通じて事件
の真相が明らかになって行く。
その真相とは、そして事件と主人公の関わりは…
映画では、最初に‘The Night Chronicles’というタイトル
が出て続いて‘1’と表示される。つまり本作は、M・ナイ
ト・シャマランが原案・製作を務めるシリーズの第1作とな
っているものだが、ネットのWikipediaによるとtrilogyが計
画されているようだ。
そのシリーズはシャマランが長年書き溜めたアイデアノート
に基づくとされているもので、彼は自分で映画化する目的で
書いていたのだが、その数が多くなり過ぎて1人で全部は無

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07月03日(日)
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