ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■女殺油地獄、晴れた青空、大鹿村騒動記、TFDSM(特)、インシディアス、明りを灯す人、田中さん/ラジオ体操、極道めし+Lone Ranger
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『シネマ歌舞伎/女殺油地獄』
近松門左衛門作の世話浄瑠璃を歌舞伎で演じた作品。主役の
与兵衛を演じさせたら当代一と言われる片岡仁左衛門の主演
で平成21年6月に「歌舞伎座さよなら公演」の一つとして演
じられた舞台がHD撮影でスクリーンに再現される。
大阪天満の油屋河内屋の息子与兵衛。その母は実の親だが、
父は実父が亡くなった際に家督を保つため元の番頭が母親と
結婚したもの。このため継父は元の主人の息子である与兵衛
には意見ができない。
そんな複雑な家庭のせいか、与兵衛は放蕩者となり、家の金
を持ち出しては遊び呆けている。そして侍になった親戚にも
迷惑を掛ける羽目となり、遂に父親は勘当を申し渡してしま
う。
息子が放蕩者と判っていても子供のことが気に掛かる親心。
そんな親の心を知り、一旦は改心しようとする与兵衛だった
が…。
東京の六本木には試写会場が幾つかあって、夜間の試写の帰
り道などで繰り出してくる男女の姿を観ていると、それが自
分の稼いだ金で呑んでいるなら良いが、とうてい勤務先から
来たのではないと思える衣装の連中などには、金の出所が心
配になる。
そんな今も変わらない若者の風俗、それが江戸時代にすでに
描かれていたという作品だ。しかも刹那的に犯罪にも手を染
めてしまう。まさに現代でも同じことが起きている…そんな
ことも考えてしまう作品だった。
出演は、仁左衛門=与兵衛の他は、継父役に中村歌六、実母
役に片岡秀太郎、そして物語の鍵となる豊嶋屋お吉役に仁左
衛門の息子の片岡孝太郎。特に題名にもなっている与兵衛、
お吉の油まみれの立ち回りは見応えがあった。
また、お吉の娘お光役は仁左衛門の孫の片岡千之助で、親子
三代の共演にもなっている。
シネマ歌舞伎は本作が第13弾、中には昨年8月紹介『大江戸
りびんぐでっど』のような珍品もあるが、歴史ある作品の重
みは確かなもの。その保存だけでも価値のあるシリーズと言
える。さらに新歌舞伎座が完成したら3Dでの撮影も検討し
て貰いたいものだ。

『あの、晴れた青空』
昨年11月『Pure』という作品紹介しているごとうしのぶ
原作「たくみくんシリーズ」の映画化第5作。
最初に書いて置くと、このシリーズは女性向けに作られてい
るもの。若いイケ面と言われる男優が大挙して登場して、そ
のイケ面を女性たちがうっとりしながら観るという趣向の作
品だ。
実は、以前に同様の趣向の作品でトークイヴェントも付いた
「完成披露試写会」を観させてもらったこともあるが、一般
興行より高い入場料で観客の集まるそれは、満員の女性の熱
気が溢れんばかりのものだった。
そんな女性たちが本作でも歓声を挙げたり、溜め息を吐きな
がら観るのだろう。従って僕などは本来の観客の範疇にない
もので、それで評価するのはかなり難しいが、その難しさが
本作ではさらに進んでいるような気もした。
物語は、前作の時は全寮制の学園全体の中での複数のカップ
ルの姿が描かれたが、本作では本来の主人公であるタクミと
ギイに特化されて、特にタクミ自身の問題と、その助けにな
ろうとするギイの姿が描かれている。
それは友情の物語でもあり、それとして理解もできるものだ
が…。元々若い男子同士の恋愛を描くシリーズではあるが、
正直にはここまで描いていいのかと思うレヴェルに来ている
感じもした。これに女性たちはついて行くのかな。
出演は浜尾京介、渡辺大輔、浜口幸広、馬場良馬、内藤大希
ら第2作からのレギュラー陣を中心に、こちらも『テニ王』
出身の高崎翔太が新登場。また中年の教師役で昨年12月紹介

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06月12日(日)
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