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On the Production
by 井口健二
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■犬飼さんちの犬、風吹く良き日、おじいさんと草原の小学校、赤い靴、グッド・ハーブ、ハウスメイド、沈黙の宿命、水曜日のエミリア
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『犬飼さんちの犬』
2008年『ネコナデ』、2009年5月紹介『幼獣マメシバ』、昨
年2月紹介『ねこタクシー』に続く「おっさん」とペットの
関係を描いたシリーズの最新作。
シリーズの最初は2005年11月紹介『イヌゴエ』だそうだが、
それはちょっと毛色が違っていたから、実質的に年1本のシ
リーズと言えそうだ。で、2008年の作品は試写は観たのだが
僕の好みに合わなかったもの。しかしその後はそれなりの作
品になっている感じだ。
その今回の主人公は、単身赴任で離島のスーパーマーケット
に勤務している犬飼保・48歳。名前とは裏腹に犬が嫌いで、
その嫌いようは、犬の鳴き声には多少遠くても警戒するし、
小犬のそばにも寄れないほどだった。
そんな主人公の勤務する島には特別な草があり、その草から
作った「島石鹸」は全国の店舗で売られる人気商品になって
いる。ところが品薄となり、その製造も任されていた創業者
の息子の店長が草を水増、結果、粗悪品が発生して本社に苦
情が殺到し始める。
一方、家族想いの主人公は、毎日の食事もネット中継で顔を
合わせるようにするなど家族奉仕にも努めていたが、石鹸の
苦情処理のため店長と共に本社に呼び出された主人公が久し
ぶりに帰宅すると、そこには1頭の犬が家族と共に暮らして
いた。
しかも、父親のいない間に家族の生活状況はいろいろに変化
して、塾や習い事で家人は留守がち、いきおい犬の世話は主
人公に任せられることになってしまうのだが…
自分が犬の飼い主であると、犬嫌いの人の気持ちなどはなか
なか判り難いが、犬と散歩に行った公園で集まっている犬の
方に行けない人の姿のなどを見ると、飼い主としてそういう
人にも配慮すべきだと自戒することもある。
このシリーズの特徴は、そんな他人への気配りのようにも感
じる。実際に本作の中でも、ペットのしつけや横暴な飼い主
など、綺麗事だけでない面も描かれているし、何より作品の
コンセプトは、ペットに演技させないことと可愛く撮らない
ことだそうだ。
出演は、主人公に小日向文世。他に2008年3月紹介『パーク
・アンド・ラブホテル』などのちはる、昨年5月紹介『君が
踊る、夏』に出演の木南晴夏。さらに池田鉄洋、徳永えり、
でんでん、佐藤二朗、清水章吾らが脇を固めている。
そしてペットとして登場する犬種はサモエド。日本では飼育
例が少ないとのことだが、映画では、仔犬2匹、成犬2匹、
それにプロローグで登場する赤ん坊の5頭で演じられている
そうだ。
脚本はシリーズ全作の原案と製作も手掛ける永森裕二。監督
は『マメシバ』以降のシリーズを支える亀井亨。なお脚本家
は、『ねこタクシー』を書き上げたときに「もう書くものは
ない」と思ったそうだが…、シリーズは今後も続けて欲しい
ものだ。
『風吹く良き日』“바람 불어 좋은 날”
韓国の国民的俳優とも呼ばれる2008年3月紹介『光州5・1
8』などのアン・ソンギ主演による1980年代韓国映画ニュー
ウェーブの嚆矢なったと言われる作品。
本国では、2007年10月紹介『ユゴ』にも描かれた1979年10月
に起きた大統領暗殺事件の翌年に公開された作品だが、監督
のイ・ジャンホはその大統領の政権時代に起きた風紀取締り
事件に連座して監督業を禁じられ、本作がその復帰第1作で
もあったそうだ。
という相当に政治色もありそうな作品だが、内容的には、正
にその1980年の時代背景で、高度成長期の歪みから生じたや
るせない若者たちの群像が描かれる。そこには地方から首都
ソウルに出てきたものの、就ける仕事は半端なものばかり、
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05月22日(日)
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