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On the Production
by 井口健二
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■日輪の遺産、酔拳、チョン・ウチ、ヤバい経済学、エッセンシャル・キリング、デンデラ、POTC生命の泉+Terminator
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『日輪の遺産』
2006年8月紹介『地下鉄(メトロ)に乗って』などの浅田次郎
の原作から、2006年9月紹介『出口のない海』や2007年4月
紹介『夕凪の町 桜の国』などを手掛けた佐々部清が監督し
た第2次大戦末期における軍部の謎に挑んだ作品。
プロローグは2011年3月、卒業式を迎えたその女学校の正門
横には、終戦直前に勤労奉仕先で殉死した生徒と先生の追悼
碑が建てられている。その碑に参ってから式場に向かう老夫
妻。その式の最中、夫は「真柴さんから命令を解除された」
と言い残し亡くなる。
そして1945年8月10日、近衛師団参謀室では連合軍から突き
つけられたポツダム宣言に対する論議が繰り返されていた。
その中で少し距離を置く真柴少佐の許に、「余人に知られず
陸軍省大臣室へ出頭せよ」との電話が架かる。
その大臣室にはもう1人、大蔵省から東部軍経理部に出向中
の小泉中尉がおり、2人に極秘の任務が与えられる。それは
敗戦を覚悟した軍上層部からの、山下将軍がフィリピンより
持ち帰った財宝を、戦後復興の資金として秘匿せよというも
のだった。
こうして任務に従事した2人の下には、実戦の経験も豊富な
望月曹長が配属され、さらに勤労奉仕で動員された20人の幼
気な少女たちと引率の先生と共に、「決號榴弾」と記された
木箱を地下壕に運び込むその任務は遂行されて行くが…
当時の額で900億、現在なら200兆円とも言われる山下財宝。
その行方は、戦後何度も大型詐欺の手口の一つとして話題に
なったものだが、その筋書きの一つが軍部によって秘匿され
たという内容で、この物語もそれに基づいている。
ただし、さすが浅田次郎の筆になると、その秘話は見事に感
動的な物語へ昇華していた。しかもそれが反戦の色も濃く、
その一方で軍人の英雄的な行動も描く。確かに愚かな部分も
ありはするが、それらが人間の行動として巧みに描かれてい
た。
出演は、3人の軍人役で界雅人、福士誠治、中村獅童。生徒
の級長役に森迫永衣、先生役にユウスケ・サンタマリア。他
に八千草薫、麻生久美子、塩谷瞬、北見敏之、八名信夫。さ
らにミッキー・カーチス、柴俊夫、麿赤兒らが脇を固めてい
る。
またダグラス・マッカーサー役は、2006年2月紹介『ニュー
・ワールド』などに出演のハリウッド俳優ジョン・サヴェー
ジが演じていた。
なお原作者によると、本作と『地下鉄…』は双子の兄弟のよ
うな作品なのだそうで、原作にはそれを繋ぐシーンもあるそ
うだが、映画化ではカットされていたようだ。
ただ、物語として主人公たちの行動は理解できるが、それ以
外の部分で秘密が保てたかどうか、その点では多少甘いよう
にも感じられた。でももし本当にあったら、今の時代にこそ
必要な資金のようにも思えるものだが…
『酔拳』“蘇乞兒”
ジャッキー・チェンが主演した1978年『ドランクモンキー/
酔拳』でも知られる中国・清朝末期の広東省に実在した武術
家の生涯を、1978年作の監督で『マトリックス』などの武術
指導でも知られるユエン・ウーピン監督が描いた作品。
時代は1861年、清朝に仕える蘇燦は敵に捕われた親王の救出
で武勲を立て、知事職に推挙される。しかし武道に精進した
い蘇はその栄誉を共に育った義兄の袁烈に譲り、自らは実父
の道場に戻って武道の鍛練に励んでいた。
ところが袁は、実は蘇の父親が倒した武術家の息子であり、
やがて袁は自らの実父も染まった五毒邪拳という邪悪な拳法
を習得して養父に襲いかかる。そして養父を倒した後は蘇燦
にも拳を向け、蘇を激流にたたき落とす。
その蘇は、後を追って激流に身を投じた妻によって一命を取
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05月15日(日)
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