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On the Production
by 井口健二
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■メアリー&マックス、ツーリスト、愛しきソナ、木漏れ日の家で、キッズ・オールライト、ジャッカス3D、ナナとカオル+ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『メアリー&マックス』“Mary and Max”
2009年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門最優秀長
編映画賞を受賞し、一昨年の東京国際映画祭WORLD CINEMA部
門で上映された作品が一般公開されることになり、改めて試
写が行われた。
内容紹介は、まず東京国際映画祭の時のものを再録する。
実話に基づく物語とされるオーストラリア製の人形アニメー
ション。
1976年という時代背景で、それぞれが心に病を抱えるオース
トラリア・メルボルン在住の8歳(3カ月と9日)の少女と、
アメリカ・ニューヨーク在住の44歳の男性とがペンパルとな
り、その後20年に及んだ文通による交流が描かれる。
少女は両親からアクシデントで生まれた子供と言われ、それ
が心の傷となったまま孤独に生きている。一方の男性は、ア
スペルガー症候群で他人とのコミュニケーションが苦手。そ
んな2人が手紙や贈り物の遣り取りで交流を深めて行く。
そしてそれぞれは、少女から大人の女性へ、また壮年期から
老人へと人生の変化を遂げて行く。そこには意見の相違など
いろいろな紆余曲折があり、長い時間の流れが互いの手紙の
朗読とそれに関る事象の映像で描かれる。
その主人公の声を、少女役は『シックス・センス』でオスカ
ー候補になったオーストラリア人女優のトニ・コレット、男
性役は『カポーティ』で受賞のフィリップ・セーモア・ホフ
マンが演じており、さらにエリック・バナらが声の共演をし
ている。
映像はかなりデフォルメされた人形によるコマ撮りアニメー
ションだが、そこそこの社会性と、ユーモアにも満ちたキュ
ートな物語が展開されて行く。また、愛情に恵まれなかった
2人の、それでも愛を求める切ない物語が描かれたものだ。
なお、男性の書棚にASIMOVと書かれた本があったり、彼自身
がニューヨーク・SFファンクラブの会員であるなどといっ
た説明もあり、その辺は実話ということなのかな。また物語
の中ではルイス・キャロルに模したカバン語を連発するシー
ンも描かれていた。
物語の結末も見事で、心に染みる作品になっていた。
以上が以前の紹介文だが、今回配布されたプレス資料による
と、少女の子供時代の声は、コレットではなくベサニー・ウ
ィットモアという1999年生まれのオーストラリアの人気子役
が演じていたようだ。
ただ、今回見直していて字幕の翻訳がかなり疑問に感じられ
た。それは例えばPneumoniaを単純に「肺炎」と表記してい
て、それを少女が「アンモニア」と誤解していることに何ら
の説明もない。これは映画祭では「仕方ないなあ」で済ませ
るが、一般公開ではもう少し気を使って貰いたいところだ。
その他にも同様の部分があったように感じた。
このように物語は子供向けではないが、大人の観客には正に
珠玉と言える作品だ。

『ツーリスト』“The Tourist”
アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップ。当代切って
の人気スターの2人が初共演した作品。2005年にソフィー・
マルソーと『ミュンヘン』などのイヴァン・アタルの共演で
映画化されたフランス映画“Anthony Zimmer”からのハリウ
ッド版リメイク。
パリ警察の監視下に置かれている女性。それはスコットラン
ド・ヤード金融犯罪課の指示に従ったもので、その映像は逐
一ロンドンでもモニターされている。その女性には、多額の
マフィア資金を洗浄して行方を眩ました男性容疑者との接触
が期待されていた。
その女性が動き始める。それは手紙による指示に従っている
ようだが、その手紙は焼却されてしまう。それでも何とか彼
女の行き先を突き止めたロンドン警視庁の捜査官は、直ちに

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02月06日(日)
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