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On the Production
by 井口健二
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■市民ポリス69、神々と男たち、ブルーバレンタイン、トゥルー・グリット、悲しみのミルク、アトムの足音が聞こえる+ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『市民ポリス69』
2008年11月紹介『特命係長・只野仁』などの柳沢みきお原作
マンガからの映画化。元つかこうへい劇団のベテラン脇役・
酒井敏也が映画初主演を飾っている作品。
東京の犯罪発生率が現在の数倍になった時代。その対策に苦
慮した東京都は、主に軽犯罪を取り締まる目的で善良な都民
100人を強制的に選び、彼らに一カ月の限定で警察官の権限
を与える「市民ポリス」制度を発足させた。
ただし、貸与されるのは身分証明兼身元を隠し用のナンバー
の付いたマスクと麻酔銃のみ。しかも緊縮財政のおりからか
報酬は微々たるもので、負傷しても治療費も出ない。そして
30日間を無事に満了すると精巧なスカイツリーの模型が貰え
る仕組みだ。
そんな市民ポリスに選ばれた気弱な宅配便の運転手が、最初
はただ30日間を無事に過ごすために犯罪を目撃しても見て見
ぬ振りをしていたが、やがて権力行使の快感を知り、徐々に
重大犯罪に手を染めて行くようになる…というお話。
アイデアは「裁判員制度」の流れなのかな、正にお上の思い
付きが市民に迷惑を与える…そんな典型のような話だ。しか
も一般人が犯罪に触れることで、その心理に多大な影響を与
えて行く、そんな恐ろしさも描かれている。
とは言うものの本作は、主演者の配役からも判るようにコメ
ディタッチの作品で、いろいろなギャグを取り混ぜながら物
語は進んで行く。そしてそこには「市民ポリス」制度に反対
する市民運動家なども登場する。
共演は、プロデューサーも兼ねる桐生コウジ、他に女性アイ
ドルグループ「ももいろクローバー」の早見あかり。そして
清水章吾、津田寛治、原紗央莉。さらに佐藤二郎、錦野旦、
山本浩司、つぶやきシローらが脇を固めている。
監督は、2008年『GSワンダーランド』などの本田隆一。監
督が脚本と編集も兼ねた前作はテレビで鑑賞して感心した作
品の1本だった。そんな感覚から本作にも期待を持って観に
行ったものだ。
でもその期待とはちょっと違ったかな。それは簡単に言えば
テンポがいま一つで、これは恐らくは主演者のテンポに合わ
せてしまったところもあるのだろうが、そこに何か一工夫が
欲しかったところだ。
脚本にテンポ付けるのも監督の仕事だと思うし、前作にはそ
れなりのテンポがあったと思うので、監督にはその辺のとこ
ろを期待したいものだ。

『神々と男たち』“Des hommes et des dieux”
昨年カンヌ国際映画祭グランプリを受賞し、東京国際映画祭
WORLD CINEMA部門で上映された作品が一般公開されることに
なり、改めて試写が行われた。
1996年アルジェリアで起きた事件に基づく。以前はフランス
国内の扱いだった時もあるアルジェリアには多くのキリスト
教修道院が存在し、彼らは農業や医療などの普及にも務め、
それぞれが周囲に暮すアラブ人住民の支えになっていた。
そこにはイスラム教徒も多く存在したが、修道僧たちもコー
ランを研究し、互いの存在を認めあっての暮しが長く成立し
ていたものだった。ところがそこにイスラム原理主義が台頭
してくる。
そして武装イスラム集団がテロ活動を開始し、爆破テロなど
でアルジェリア国内の世情が混乱し始めても、修道僧たちは
周囲の住民たちと共に生きることを「御主」の意志として、
フランス政府の帰国命令も無視して生活を続けていた。
そんな状況下で、武装イスラム集団の中には修道僧たちの考
えを理解し、その立場を尊重するグループもあったが…
事件は現実のものだからその結末なども変わるところはない
が、その事件の推移自体は謎が多く残っているそうだ。その

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01月30日(日)
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