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On the Production
by 井口健二
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■心中天使、洋菓子店コアンドル、英国王のスピーチ、コリン LOVE OF THE DEAD+ベスト10
明けましておめでとうございます。
本年もよろしく願いいたします。

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『心中天使』
2000年に『溺れる人』という作品を発表して国内外で高い評
価を得ている一尾直樹監督による10年ぶりの第2作。試写前
に監督の挨拶があり、「かなりユニークな作品になったと思
うので、よろしくお願いします」とのことだった。
その物語は、3人の若い男女が、それぞれの場所はばらばら
だが同じ瞬間に上方を見上げて失神するところから始まる。
3人はほどなくそれぞれに回復はするが、以後それぞれの生
活の何かがおかしくなっているようだ。
そんな生活の中で彼らは、それぞれの感じる違和感を克服で
きないままに生活が破綻して行く。それはそれぞれに独立し
た物語ではあるが互いにシンクロしているようで、やがてそ
れぞれは重大な局面へとつながって行くのだが…
題名は、プレス資料に書かれた監督の言葉によるとダブルミ
ーニングなのだそうで、チラシなどには敢えて「しんちゅう
てんし」と平仮名の添え書きがされている。因に英語題名は
“Synchronicity”とされるようだ。
それで上記の物語の続きは、題名の漢字から直感されるよう
な展開にはならず、これがユニークというか、かなり観客を
混乱させるものになっている。それはある種ファンタスティ
ックではあるし、多分僕のような人間が評価しなければなら
ない作品なのだろう。
また監督は、プレス資料によると「人類史上、個人が最も孤
独に生きていると思える現代で、その孤独からの脱却を描き
たかった」とのことのようなのだが、果たしてこの描き方で
観客にそれが理解されるかどうか。
それは、仮に観客に混乱を与える展開であったとしても、結
論がそれしか観えてこないのであればそれはそれで良いのだ
が。僕にはそこまでの結論が、プレス資料を参照しなければ
観えてこなかった。
でもそれは、何度か観れば理解できるものかも知れないし、
その意味ではリピーターを誘える作品ではありそうだ。僕自
身、上記の理解を踏まえた上でもう一度観る機会があれば…
とは思っているところだ。
出演は、2007年に川瀬直美監督がカンヌ映画祭グランプリを
獲得した『殯の森』などに主演の尾野真千子と、2006年6月
紹介『夜のピクニック』などの郭智博、それにテレビドラマ
『ゲゲゲの女房』に出演の菊里ひかり。
他に國村隼、萬田久子、今井清隆、遠野あすか、麻生裕未、
風間トオル、内山理名らが脇を固めている。
なお監督は、1996年に作・演出を手掛けた演劇が、発表され
た演劇祭の審査委員長を務めていた筒井康隆から絶賛された
ことがあるそうだ。また映画の中では、シオドア・スタージ
ョンの異色短編集『一角獣・多角獣』の中の一文が繰り返し
引用されていた。

『洋菓子店コアンドル』
江口洋介、蒼井優主演で、洋菓子が人々の心を繋いで行く、
そんなヒューマンなドラマが描かれる。
主人公は、九州から恋人を追って上京してきたパティシエー
ル。彼女は恋人が就職したはずの洋菓子店を訪ねるが、その
恋人はすでに辞めて行き先も判らないと言われる。そこで行
く宛てのない彼女は、スタッフ募集していたその店で働くこ
とにするが…
テストとして自信を持って作ったケーキは、洋菓子店の女性
オーナーシェフからは商品にならないと酷評され、ちょうど
来ていた評論家からもその造り方や出来映えに注文を付けら
れてしまう。
しかしオーナーシェフからは働くことを許され、やがて彼女
の作ったケーキを常連客に、「お試し」として出して貰える
ようになって行くが…。そのオーナーシェフが突然倒れ、洋
菓子店は休業を余儀なくされてしまう。

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01月02日(日)
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