ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ブローン・アパート、再生の朝、死に行く妻との旅路、台北の朝僕は恋をする、さくらさくら、幸せの始まりは、唐山大地震+ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『ブローン・アパート』“Incendiary”
行きずりの男との情事中に夫と息子がテロに巻き込まれて亡
くなる。そんなある意味、現代の究極とも言える状況に置か
れた女性を主人公にした、ちょっとファンタスティックな部
分もある作品。
夫はテロ対策部隊で爆発物処理に当たる専門家、その緊張を
強いられる仕事のせいか多少気難しく、深夜の緊急出動など
で家庭を顧みる時間もあまりない。そんな夫の唯一の家庭サ
ーヴィスは1人息子を連れてアーセナルFCの試合を観戦に
行くくらいだ。
そんな観戦に向かう親子を見送った主人公は、ふと立ち寄っ
たパブで若い男性に声を掛けられる。そしてタブロイド紙の
記者と名告る男性の家で情事を楽しんでいたとき、突然の衝
撃が彼らを襲う。それは自爆テロでスタジアムが爆破された
瞬間だった。
その事態に深く傷つく主人公。一方、情事の相手の記者は自
らの立場を利用して事件を調べて行き、それはやがて驚愕の
事実にたどり着く。さらにその間にテロの実行犯の家族を突
き止めた記者はその名前と住所を彼女に告げるが…
映画の中には、爆破されて崩壊したスタジアムや、多数の追
悼のバルーンが空に揚げられているロンドンの情景などが描
写されて、その映像はある種のファンタスティックなものに
もなっている。
因に映画に登場するのは対チェルシー戦で、ロンドンの北部
と西部に位置する2チームの試合は、ダービーとは呼ばれな
いようだが、同じ市内同士では観客数も多そうだ。そんな試
合がテロの標的とされる。
ただし、現実にイギリスのサッカー場がテロ事件の標的にな
って、しかもこのような大惨事になったという話は聞いたこ
とがないから、この物語自体は架空事件ものと呼んでいいの
かもしれない。そんな物語の中で、1人の若い母親の苦悩が
描かれる。
出演は、2009年8月紹介『脳内ニューヨーク』などのミシェ
ル・ウィリアムスと今年9月紹介『ロビン・フッド』などの
マシュー・マクファディン、それにユアン・マクレガー。
脚本監督は、2001年『ブリジット・ジョーンズの日記』など
のシャロン・マクガイア。また音楽をチャン・イーモウ作品
なども手掛ける梅林茂が担当していた。
それにしても、ロンドンで爆弾テロというと以前はIRAが
相場だったが、現代ではこれもアルカイーダの仕業となるよ
うだ。物語はクリス・リーヴという作家の原作に基づくもの
で、その原作はオサマ・ビン=ラディンへの手紙という形で
綴られているそうだ。

『再生の朝』“透析”
1997年、基本的人権が未だ定まっていない中国で起きた実話
にインスパイアされ描かれた作品。
主人公は、中国の地方都市で裁判長を務める男性。その男性
の娘が交通事故で亡くなる。その衝撃は特に母親である男性
の妻に重大で、以後は炊事などの家事も彼が行わなくてはな
らなくなる。しかもその交通事故は彼の下した判決への報復
かもしれなかった。
そんな彼の許に、自動車窃盗の罪で逮捕された1人の若者が
送られてくる。その若者が盗んだ車は2台だけだったが、そ
れは当時の中国の刑法では死刑に値するものだった。しかし
その刑法には改正の動きも伝えられていた。
一方、実業家の男性が腎臓病を患い、その治療には臓器移植
の道しか残っていなかった。そして窃盗犯の若者の内臓がそ
の実業家への移植に適合していることが判明する。さらに、
主人公の飼っている犬が未登録で、保健所がその犬の捕獲に
やってくる。
そんな中で窃盗犯の若者には、反対意見もあったが主人公の
賛成によって死刑の判決が下される。そして死体から臓器を

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12月26日(日)
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