ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ナンネル、ネスト、ミツバチの羽音と地球の回転、ホームカミング、多田便利軒、サビ男サビ女、毎日かあさん、かぞくはじめました
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ナンネル・モーツァルト/悲しみの旅路』
“Nannerl, la soeur de Mozart”
幼い頃から神童と呼ばれていたヴォルフガング・アマデウス
・モーツァルトの姉で、演奏旅行に同行し共演もしていたマ
リア・アンナ、愛称ナンネルの生涯を描いた作品。
モーツァルト姉弟の父親レオポルドは優れた音楽指導者であ
り、その指導の許で姉弟は優れた才能を発揮して行く。とこ
ろが年齢が進むに従って父親の指導は弟中心となり、姉には
弟の伴奏の役目しか与えられないようになって行く。
それは、特に父親の弟に対する作曲の指導では顕著となり、
「女性は作曲などするものでは無い」の一言で、彼女にはそ
の手解きすら教えられなかった。しかし彼女の頭の中にはさ
まざまな音楽が満ち溢れていた。
そんな彼女の才能は、ある切っ掛けでフランス王家の家族た
ちと親しくなったことから、やがてその才能を認めた王太子
の勧めで曲を書き上げ献上することにもなるのだが…。それ
は悲劇にも繋がっていった。
音楽界には『ナンネルの楽譜帳』というものが実在している
ようで、それは父親が弟のために作曲し練習に使わせていた
楽譜帳ということになっているそうだが、本作はのその辺の
事情からインスパイアされて作られたもののようだ。
またナンネルがヴォルフガンングと共に演奏で天分を発揮し
ていたことは事実で、さらに弟が姉の才能を認め信頼を寄せ
ていたことも事実のようだ。従って本作の物語が全くの虚構
ということも、またできないものになっている。
ただし、ナンネル自身の作品曲というのは全く残されていな
いようで、その事情は本作に描かれたものであるのかも知れ
ないが、その点では本作の中にその曲を含めて創作の部分は
数多く存在はしている。
しかし時代に翻弄され、その時代の中に埋もれていった女性
というのは数多くいたのだろうし、その中の1人としてナン
ネルの存在があったとしても、それは全くおかしくはないも
のだ。
製作・脚本・監督は、2000年『夕映えの道』などのルネ・フ
ェレ。その監督はナンネル役に娘のマリーとフランス王家の
ルイーズ役にも娘のリザを起用し、家族ぐるみの作品という
感じになっている。
またヴォルフガング役には、11歳でパリの国立音楽院に学ん
でいるというヴァイオリニストのダヴィッド・モローを起用
して、劇中で素晴らしい演奏を聴かせてくれるのも見所と言
えそうだ。
『ネスト』“The New Daughter”
日本には2005年に長編『奇怪な果実』などが紹介されている
アイルランドの作家ジョン・コナリー原作による未訳の短編
小説からの映画化。
妻に家出されてノースカロライナの自然に包まれた一軒家に
引っ越してきた作家と、その娘と息子の一家を謎の現象が襲
い始める。それには庭の向こうに堆く築かれた塚に原因があ
るようなのだが…。やがてその家で過去に起きた悲劇などが
判明してくる。
監督は、2008年3月紹介『●REC』の脚本家のルイス・ペ
ルデホ。短編映画の監督では数多くの受賞歴もあるスペイン
の俊英が、いきなりアメリカでの長編監督デビューを飾る。
脚色は、2008年にも学園物のホラー作品の脚本を担当してい
るジョン・トラヴィス。
主演はケヴィン・コスナー。それに2007年4月紹介『パンズ
・ラビリンス』に主演していたイヴァナ・バクェロ、2008年
12月紹介『チェンジリング』でアンジェリーナ・ジョリーの
息子を演じていたガトリン・グリフィスが共演。
他に、2004年9月紹介『パニッシャー』にも出演していたと
いうサマンサ・マチス、2001年『ララ・クロフト/トゥーム
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12月19日(日)
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