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On the Production
by 井口健二
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■ソウル・キッチン、PA第2章、ザ・タウン、ベストセラー、イップ・マン、モンガに散る、ワラライフ、死なない子供+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ソウル・キッチン』“Soul Kitchen”
2009年ヴェネチア映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。
ハンブルグの港湾倉庫を改造した大衆食堂を舞台に、世間の
波風に振り回される人々の姿を暖かい眼差しで描く。
主人公は、手作りで改造した大衆食堂のオーナー兼シェフ。
ただし出しているのは冷凍のフィッシュフライやフライドポ
テトなどの安直なものばかりで、客も惰性で来ているような
連中ばかりだった。従って経営も思わしくなく、税金も滞納
中。
そんな主人公には長年付き合って来た恋人がいたが、彼女に
上海へ長期赴任する仕事が舞い込む。そして彼にも一緒に来
てくれるよう頼むのだが…。彼は大事な店を放っていくこと
はできず、2人の話し合いは平行線のままだった。
そんな時、主人公の兄が刑務所から仮出所で店を訪れ、仮出
所を継続させるための雇用証明を出してくれという。でも本
気で働く気持ちはないようだ。一方、町で出会った昔の同級
生が、不動産業で何やら怪しい仕事をしているらしい。
さらに主人公は、恋人の家族との会食の席で本格的な料理の
味を憶え、それを作ったシェフに店を任せたいと考えるのだ
が、そのシェフは客を客とも思わない気難しい男で…。そん
な連中が入り混じって、大衆食堂を巡るドタバタの人間ドラ
マが展開する。
物語自体はありそうなエピソードの連続だが、その人間味が
魅力かな。でも日本だと松竹新喜劇辺りにでもありそうなお
話で…。それがまあそんなところで評価されたのなら、それ
も面白いと言えそうだ。
脚本と監督は、2004年の『愛より強く』でベルリン映画祭金
熊賞を受賞、2008年9月紹介『そして、私たちは愛に帰る』
で2007年カンヌ映画祭脚本賞を受賞、そして本作でヴェネチ
アと、36歳にして世界3大映画祭の全てを制したファティ・
アキン。
主演は、監督とは子供の頃からの遊び仲間で本作の共同脚本
も担当しているアダム・ボウスドウコス。彼は実際に10年前
からハンブルグで、監督も常連というギリシャ料理店を経営
しており、この作品は彼自身を描いた作品でもあるようだ。
共演は『ラン・ローラ・ラン』などのモーリッツ・ブライプ
トロイと、『愛より強く』のビロル・ユーネル。また2人の
ヒロイン役には、共に本作がほぼ映画初出演のアンア・ベデ
ルケとフェリーネ・ロッガンが起用されている。
他に、1974年にアンディ・ウォホールの製作で話題になった
ドラキュラ映画『処女の生き血』に主演のウド・キアーが、
キーになる役柄で出演していた。
『パラノーマル・アクティビティ第2章−TOKYO NIGHT−』
2009年12月紹介のアメリカ映画『パラノーマル・アクティビ
ティ』から発想されて日本を舞台に作られた作品。
旅行先のアメリカで交通事故に遭い両足骨折の負傷をした女
性が帰国、弟と2人暮らしの自宅で療養を始める。ところが
それと同時に彼女の周囲で異常な現象が起こりだす。そこで
弟が姉の部屋にヴィデオカメラを仕掛けてみると…
オリジナルは元々異常現象の渦中にあった女性の周囲を探る
という設定だったが、本作では姉の過去にはそのような現象
は起きておらず、姉の帰国後に現象が起こり始めるという展
開で、まあそれだけ誰にでも起こり得るというか、そんな作
品になっている。
ただまあこの手の超常現象ものでは、物語の展開には何の制
約もなく何でもありにできるから、そこでどれだけの恐怖感
を観客に与えられるかが勝負の作品とも言える。
その点で言うとオリジナルの作品は、単純なショックシーン
だけでなく、何気ない描写がそのシチュエーションではじわ
じわと背筋が寒くなるような、一種独特の恐怖シーンが演出
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11月07日(日)
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