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On the Production
by 井口健二
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■デザート・フラワー、ウッドストックがやってくる、ライトノベルの楽しい書き方、ヤコブへの手紙、花々の過失、白夜行+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『デザート・フラワー』“Desert Flower”
世界的なスーパーモデルで、1987年の『007/リビング・
デイライツ』にも出演していたワリス・ディリーの半生を描
く実話に基づいた作品。
ソマリアの貧しい遊牧民の家に生まれ、封建的で差別的な暮
らしに耐え切れず、たった1人で砂漠を越えた少女の物語。
そして少女は、都会に住んでいた叔母の伝で英国駐在大使に
任命された叔父一家のメイドとなり、ロンドンへと向かうの
だったが…
母国ソマリアで政変が発生し、大使一家に帰国命令が出たと
き、彼女はパスポートだけを手に大使館を脱出、路上生活者
となってしまう。しかも彼女は、6年間もロンドンで暮らし
ていたのに大使館の中だけの生活で、英語をほとんど学んで
いなかった。
ところがそんな彼女は、アパレルショップでアルバイトの店
員をしながらオーディションを受け続けてる女性と出会い、
片言ながらも意気投合した2人は共同生活を開始。さらにそ
の女性の伝でハンバーガーショップで働いていたとき、彼女
に大きな幸運が舞い込む。
と書いてくると、何ともありがちなシンデレラストーリーの
ようだが、実は彼女には、ソマリアでの幼少時代に受けた大
きな秘密があった。その秘密が、彼女がスーパーモデルにな
って以後、徐々に明らかになって行く。
その秘密=FGMについては、僕はすでに2006年3月に紹介
した『母たちの村』でも知っていたものだが、今もなお毎日
6000人以上の子供たちがその被害に遭っているとの報告も映
画の中では紹介されていた。
そして本作は、そのFGM撲滅のため自らの体験を告白し、
ニューヨーク国連本部の演壇にも立った女性の物語なのだ。
しかしその一方でこの映画では、ロンドンで文化的に暮らし
ている人たちの中でさえ、その因習への賛同者がいるという
現実も紹介している。
ワリス・ディリーの自伝からの脚本と監督は、日本には初紹
介になるが、アメリカ生まれのドイツ系女性監督のシェリー
・ホーマンが担当。また主人公のワリス役には、自身もアフ
リカ系スーパーモデルのリヤ・ケベデが扮している。
他には、2006年6月紹介『レイヤー・ケーキ』などにも出演
のサリー・ホーキンス、ティム・バートン作品や『ハリー・
ポッター』シリーズでお馴染みのティモシー・スポールらが
共演。
こんな恐ろしい現実が今も続いている。それを我々は知らな
ければならない。特に女性には観てもらいたい映画だ。

『ウッドストックがやってくる!』“Taking Woodstock”
台湾出身のアン・リー監督が、1969年8月15〜17日に開催さ
れた「音楽と芸術の祭典ウッドストック」の舞台裏を綴った
実話に基づくドラマ作品。
アポロ11号が月面に着陸した頃のお話。この映画の原作者で
もあるエリオット・タイバーは、グリニッジ・ヴィレッジで
デザイナー/アーチストとしての成功を納めていた一方で、
ニューヨーク州ホワイトレイクにある両親の営むモーテルの
手伝いにも追われていた。
そんな彼の唯一の慰めは、会長職を任されている地元商工会
のイヴェントとして自分の好きな音楽による町興しを企画す
ること。そしてその年も、音楽会の開催は彼の発議によって
商工会の承認を得ていた。しかし、具体的な内容はまだ何も
決っていなかった。
そんなとき、彼は1つの新聞記事を目にする。それは近隣の
ウォールキルの町で行われる予定だった大規模な音楽祭が、
地元民の反対で開催許可を取り消されたというもの。そこで
エリオットはその主催者に電話を掛け、彼の地元での開催を
働き掛けた。
すると主催者の1人はヘリコプターでホワイトレイクに駆け

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10月10日(日)
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