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On the Production
by 井口健二
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■黒く濁る村、キック★アス、酔いがさめたらうちに帰ろう、ソフィアの夜明け、乱暴者の世界、とびだす絵本+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『黒く濁る村』“이끼”
『苔』の題名で韓国で大人気を呼んだウェブ・コミックスの
映画化。2003年の大ヒット作『シルミド』を生み出したカン
・ウソク監督が本格ミステリーに初挑戦し、本作でも韓国で
340万人動員の大ヒットを記録した。
20年間も音信不通だった父親の死去の知らせ受け、主人公は
父が暮らしていたという山間の村を訪れる。そして喪主とし
て葬儀を執り行うことになるが、村人たちの態度には「早く
村を去って欲しい」という感情が見え見えだった。
そんな中で村長は彼を歓待しているふうにも見えるのだが、
その態度にも不信感が拭えない。そんな村民の態度もあって
父の死因を追求しようとする主人公は、知人の検察官にも応
援を求め、村に隠された秘密を追い始めるが…
原作のコミックスは、原題のハングルで検索すれば現在でも
ウェブ上で観ることができるものだが、コミックスの吹き出
しなどはGoogle翻訳に対応してくれないので、その展開など
はよく判らない。でも映画を鑑賞した後で観ると、なるほど
映画は原作の雰囲気をよく捉えている感じだ。
ただ、プロローグやエピローグが少し違うようで、その辺が
原作の中に示唆されたものかどうか、その辺が判らないのは
ハングルを読めない自分には心苦しいところだが。しかし、
映画に描かれた展開の壮大さが見事だったとは言うことがで
きる。
それに緩急付けるどころか、ほとんど緊張の糸を張ったまま
で2時間41分を演出し切ったウソク監督の手腕にも敬服とし
か言いようのない作品だった。また過去のいろいろな名作の
要素が、古典的とも言える的確な演出で見事に凝縮されてい
るのも素晴らしかった。
出演は、原作者が構想時に思い描いていたという『殺人の追
憶』などのパク・ヘイルと、『トンマッコルへようこそ』な
どのチョン・ジェヨン。特にチョンは、40代から70代までの
年齢表現を3時間掛けた特殊メイクと共に演じ切っている。
他に、昨年の東京国際映画祭では『よく知りしないくせに』
の題名で紹介されたホン・サンス作品にも出演のユ・ジュン
サン、2006年7月紹介『鬘』や2007年10月紹介『黒い家』な
どのユ・ソン、ウソン監督の前作にも出ていたユ・ヘジンら
が脇を固めている。
謎が謎を呼び、それが観客にも全く予測できない展開で話が
進んで行く。もちろんそれは原作を読んでいる人には承知の
ことかも知れないが、僕には、それを読んでいなかったから
こその醍醐味が味わえた。
『キック★アス』“Kick-Ass”
今年4月第2週の全米公開で初登場1位を記録したものの、
そのちょっと過激な内容から日本公開が危ぶまれていたアメ
リカン・コミックスの映画化が、ファンの要望に応えて劇場
公開されることになった。
物語は、全く冴えない普通の高校生が主人公。しかし、アメ
コミファンの彼には、荒んだ世の中に真のヒーローが現れな
いことが不満だった。そこで彼は、通信販売で手に入れた緑
のコスチュームに我身を包み、自らヒーローになることに挑
戦し始める。
とは言え超能力も資金力もない彼には真のヒーローになるこ
とは難しかった。ところが、それでも頑張っている彼の姿が
YouTubeに投稿されて、それが評判を呼び始める。そしてそ
の内に謎めいた協力者も現れて…
正しくアメコミヒーローの存在を逆手にとったという感じの
見事な作品。ただし原作は、マーク・ミラーとジョン・S・
ロミータJr.というベテランコミックス作家が手掛けている
から、その辺は壺を心得たもので、パロディなども含めて実
にスマートに描かれている。
ただまあ主人公の設定が現実的な分、描写はリアルにならざ
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10月03日(日)
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