ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■隠された日記、アワ・ブリーフ・エタニティ、桜田門外ノ変、C&D3D、大江戸LD、ゴスロリ処刑人、さらば愛しの大統領+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『隠された日記』“Meres et filles”
2007年9月紹介『レディ・チャタレー』でセザール賞主演女
優賞に輝いたマリナ・ハンズと、フランスを代表する女優の
カトリーヌ・ドヌーヴ、それに2003年7月紹介『アララトの
聖母』などに出演のマリ=ジョセ・クローズの共演で、母娘
3代の愛憎を描いたドラマ。
ハンズ扮する娘が、突然カナダからフランスの実家に帰って
くる。娘はドヌーヴ扮する母親に何か言いたげだが、開業医
で忙しい母親とは話し合う時間が取れない。そして休暇中も
仕事を持ち帰っている娘は、近所で空き家になっている亡き
祖父の家に住むことにする。
そこで祖父の家の中を片付けていると、家具の間から一冊の
古い手帳が見つかる。その手帳は、母親がまだ幼い頃に家出
したまま消息の判らないクローズ扮する祖母が、家出の直前
まで綴っていた日記だった。そしてそこには多額の紙幣も挟
まっていた。
さらに日記には、自ら働くことを希望しながらも、夫がその
意欲を認めてくれず、家の中で悶々と暮らさなければならな
かった祖母の苦悩が綴られていた。その苦悩は娘(母親)と
の確執を生み、それがさらに現代の母親と娘の関係にも影を
落としていた。
脚本と監督は、日本ではフランス映画祭での作品紹介が多い
ジュリー=ロペス・クルヴァル。物語は監督のオリジナルの
ようだが、ちょっとトリッキーな展開の中で母親と娘の確執
のようなものが見事に描かれている。
と言っても、僕は娘は持っているが父親なのでこの感覚は正
確には判らないが、家内と娘を観ていると「こんなかなあ」
とも思える。理解しているようで本当の理解ができない、そ
れは父親と息子でも同じかも知れないし、親子の関係という
のは、結局そんなものなのだろう。
共演は、昨年10月紹介『ジャック・メスリーヌ』などのミシ
ェル・デュショーソワ、昨年6月紹介『96時間』などのジ
ェラール・ワトキンス、テレビのベテラン女優というエレオ
ノール・イルト、2007年11月紹介『潜水服は蝶の夢をみる』
などのジャン=ピエル・エコフェ。因に、『潜水服…』には
ハンズ、クローズ、ワトキンスも出演していた。
最後の意外な展開が、物語のテイストを多少変えてしまって
いるような感じもするが、その日記の謎が解かれたときに母
親と娘の絆はいっそう深いものになっていた。そんな感じ物
語だ。

『アワ・ブリーフ・エタニティ』
昨年の東京国際映画祭に出品されていたが、スケジュールの
都合で観られなかった作品に一般公開が決定し、改めて試写
が行われた。
元気だった人間が突然気を失い、数日経って何事もなかった
ように目を覚ます。そんな奇病が伝染病のように広がってい
る。しかし失神の前後で生活に支障がなく、病気はそれだけ
のものと思われていたのだが…、実はその病気には重大な後
遺症が隠されていた。
その後遺症とは、長期記憶の障害。つまりアルツハイマーな
どのように今何をしていたという短期記憶の喪失ではなく、
過去の思い出などの長期記憶が失われる。しかもそれが過去
の恋人ような、肉親以外で特に親しかった人の記憶について
選択的に失われるようなのだ。
というシチュエーションを前提として、自分のことを全く覚
えていない昔の恋人と再会した主人公が、彼女との恋愛を再
体験したり、また別のケースでは恋人の関係が破綻したり…
といったいろいろな恋愛関係が描かれる。
脚本と監督は、2001年に初長編作品だった『PRISM』という
作品が、レイトショウ枠から一般公開に昇格するなど評判に
なった福島拓哉。しかしその後は、企画を出しても潰れるの

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08月15日(日)
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