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On the Production
by 井口健二
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■死刑台のエレベーター×2、ブロンド少女は過激に美しく、フローズン、みつばちハッチ、シャングリラ、インセプション+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『死刑台のエレベーター』“Ascenseur pour l'echafaud”
昨年5月に『地下鉄のザジ』を紹介したルイ・マル監督が、
1957年に発表した監督デビュー作の再公開。ノエル・カレフ
の原作から監督と当時の新進作家ロジャ・ニミエが脚色し、
当時25歳の監督が映画化した。撮影はアンリ・ドカエ。
女性の指図で彼女の夫を殺した主人公。それはほぼ完全犯罪
のように成功するが、最後のちょっとした手違いから、彼は
そのビルのエレベーターに閉じ込められてしまう。彼女との
待ち合わせ場所に行こうと焦る主人公。しかしその間に思わ
ぬ事態が発生して行く。
この作品も若い頃に観ていたはずだが、僕としては『ザジ』
の印象が強烈で、名作と言われる本作にはちょっと肩透かし
だった記憶がある。まあ僕は元々がファンタシー志向の人間
だからそれも仕方ないだろう。
しかし今回作品を見直していて、最後の犯罪が露見するシー
ンなどには、ファンタスティックな興奮も覚えたもので、さ
すがルイ・マルの手腕は確かなものだと納得することもでき
た。それに丁寧に撮られたアクションの演出は今でも通用す
るものだ。
主演はジャンヌ・モロー、モーリス・ロネ。共演は『禁じら
れた遊び』の少年ジョルジュ・プージュリー、本作がほぼデ
ビュー作のヨリ・ベルタン。それにリノ・ヴァンチェラらが
出演している。
特にモローは、若いのも勿論だが何より可愛らしい感じで、
不安と疑念に苛まれながら街をさ迷い歩く姿が見事に演じら
れていた。実際に映画の中ではもっともアクションの少ない
役柄だが、その姿がより印象的に写されているものだ。
マイルス・デイヴィスのトランペットを中心としたモダン・
ジャズのBGMも見事で、物語の印象をより鮮烈なものに高
めている。正にモダン・ジャズを使用した映画のお手本だろ
う。
ガルウィングのメルセデスなど珍しい自動車も登場して、そ
の走行する姿が観られるのもカーマニアには喜ばれそうだ。
それに主人公が乗る自動開閉幌付きのオープンカーも気にな
った。他にもミノックスの小型カメラなど、いろいろマニア
好みのものが登場する。
勿論、50年以上も前の作品だから、そのことは理解して観な
ければいけないが、物語や仕掛けは正に今でも通用する作品
だ。なお、本作は1957年のフランス映画で最高賞と言われる
ルイ・デリュック賞を受賞している。

『ブロンド少女は過激に美しく』
       “Singularidades de uma Rapariga Loura”
今年1月に『コロンブス永遠の海』を紹介したポルトガルの
マノエル・デ・オリヴェイラ監督による2009年、監督100歳
のときの作品。因に監督は、今年のカンヌ映画祭でも新作を
発表しているそうだ。
列車の中で隣に座った男性が、長年に渡って愛を捧げ続けた
女性との破局の顛末を語り始める。それは彼がまだ若かった
頃、叔父の店の2階で経理の仕事をしていた彼の目に、向か
いの家の窓辺で優雅に扇を使う女性の姿が写ったことが発端
だった。
やがて友人の紹介で彼女との交際を始めた主人公は、叔父に
彼女との結婚を認めてくれるよう頼むのだが、叔父は独身者
しか雇わないとして、「言うことが聞けないなら出て行け」
と馘を宣告されてしまう。
こうして路頭に迷うことになった主人公は、遠くの街での仕
事を引き受け、彼女を置いて出稼ぎに向かうことに…。とこ
ろがその出稼ぎ先で彼は成功を納め、資産を作って帰ってく
る。しかし、彼には更なる試練が待ち構えていた。
上映時間は64分という作品だが、とにかく波乱万丈、いろい
ろなことが起きて普通に描いたら2時間を超えるのではない

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07月11日(日)
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