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On the Production
by 井口健二
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■おのぼり物語、エルム街の悪夢+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『おのぼり物語』
大阪・枚方生まれの漫画家志望の若者が一念発起して上京、
様々な体験の中で成長して行く姿を描いたカラスヤサトシ原
作の自伝的4駒漫画シリーズからの映画化。
大阪で生まれ育った漫画家志望の青年が、漫画賞の受賞や、
一応は東京の雑誌に連載を得て30歳を前に上京。ところが頼
りにしていた雑誌が上京まもなく休刊してしまい…
それでも漫画家を夢見る青年が、入居したアパートの奇妙な
住人たちや、元同級生なのに仇名は「先輩」の女性、さらに
口先だけの編集者など、いろいろな人物と交流しながら徐々
に東京での居場所を作り上げて行く。
4駒漫画が原作の映画化というのも何本か観ているが、特に
原作がギャグ漫画だったりすると、単にギャグの羅列になっ
たりして、映画としての面白さの発揮できていない作品が多
いように思える。
つまり長編映画である以上は、それなりの物語が必要になる
と思うが、日本の脚本家の多くは、自分勝手な物語は作れて
も他人の作品を、その原作の思想を活かして脚色するのはど
うも苦手のようだ。
そのため、無理矢理に付けられた物語が原作の思想に上手く
マッチしていないと思えることが多いようにも感じる。その
点で言うとこの作品は原作自体が叙情的だそうで、その辺の
感性が脚本家にも理解しやすかったのか、良い感じの物語に
なっていた。
特に、カメラマン志望の「先輩」との物語は良い感じに作ら
れていたし、他にもアパートの住人たちやアパートの大家、
さらに主人公自身の家族の物語など、いろいろなものが盛り
沢山に描き込まれていた。
出演は、主人公の青年役にミュージカル俳優で受賞もしてい
るという井上芳雄が扮して長編映画の初主演を飾り、その相
手役の「先輩」に2004年東京国際映画祭で芸術貢献賞受賞の
『ニワトリはハダシだ』などの肘井美佳が扮している。
その他、編集者役で八嶋智人、大家役で哀川翔、主人公の父
親役にミュージシャンのチチ松村が映画初出演など。脚本・
監督は、高橋伴明や黒沢清、塩田明彦らの助監督を務めてき
た毛利安孝の第1回作品だそうだ。
悪い作品とは思わない。でも、何か一つこれは…と思う所が
ないというか、全体が卒なく納まりすぎている感じがする。
配役も真面も過ぎて、折角のミュージカルスターの映画初主
演なのに、全体に何か華やかさに欠ける感じの作品だった。
それが狙いだったとは思うのだが…
『エルム街の悪夢』“A Nightmare on Elm Street”
1984年製作の名作ホラー映画のリメイク。前作ではロバート
・イングランドが扮した殺人鬼フレディ・クルーガー役を、
2006年『リトル・チルドレン』でオスカー・ノミネートを果
たしたジャッキー・アール・ヘイリーが演じる。
その殺人鬼は夢の中から襲ってくる。だからそいつに遭遇し
たら…2度と眠っては駄目。そんな夢魔の殺人鬼が再び若者
たちを襲い始める。エルム街に住み、高校で同級生になった
若者たち、お互いはそれまでに関係なかったはずの彼らが同
じ夢魔に襲われる。
それは眠った瞬間に別世界に連れ去られ、そこで襲ってくる
夢魔が現実に人を殺すのだ。そして次々仲間が襲われる中、
2人の若者がその謎を解こうとするのだが…そこには、その
街に秘められた忌まわしい過去の事件が隠されていた。
昔、オリジナルを観たときには本当に恐いと思った記憶があ
る。当時はもうこういう仕事もしていたから、この手の作品
には馴れているはずだったが、夢の中で襲ってくるという発
想が、若い頃に金縛りを何度も経験している自分には、正に
壺を突かれた感じだった。
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05月09日(日)
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