ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460180hit]
■サイタマノラッパー2、結び目、氷雪の門、バウンティー・ハンター、アムステルダム国立美術館+製作ニュース
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『サイタマノラッパー2』
昨年冬のゆうばりファンタスティック映画祭でグランプリ、
韓国・富川ファンタスティック映画祭でもアジア映画最高賞
という賞を獲得した入江悠監督作品の続編。
入江監督の作品では、実は2006年に製作された長編第1作を
試写で観せて貰ったが、その紹介文は、仲間内のメールには
送ったもののサイトにはアップしなかった。つまり僕はその
作品を気に入らなかったと言うことだ。
その入江監督の第2作だった前作の『サイタマノラッパー』
は、試写会場でチラシなどは見掛けたが、僕には試写状が届
かなかったので観なかった。ただまあ、タイトルからはあま
り食指が動かなかったのは事実と言える。
その作品が上記のような話題となり、気になっていたところ
に続編の試写状が届いた。しかし続編と言うのは、前作を観
ていない者にはいろいろ気になってしまうもの。でもまあそ
れでも観るのが自分の役目なので観に行った。
物語は、前作の主役だったという男性2人が、前作にも拘っ
ていたらしい伝説のラッパーの軌跡を辿って群馬の田舎街を
徘徊しているところから始まる。そして2人は、地元で蒟屋
の跡を継いでいる1人の女性と遭遇するのだが…
本作の物語自体は、この女性を中心とした女5人のグループ
ラッパーの姿を描いているもので、前作の物語との繋がりは
ほとんど無く、その点では、前作を観ていない者にも気軽に
楽しめるように作られていた。
前作を観ていれば其なりのシーンもあったかも知れないが、
その辺は観ていない僕にも気にはならなかったし、そんなこ
とより本作では、地方で燻っているというか、そうならざる
を得ない若者たちの姿が実に丁寧に描かれていたものだ。
しかも、そんな中でも夢を忘れない若者たちの姿が、一種の
爽快感も感じさせるように描かれていた。
因に、監督の第1作の時に仲間内に送った文章を読み返して
みたが、前の作品では何か悶々とした感じが映画全体の演出
や映像の造り方を中途半端にしていたように感じたもので、
その辺が本作では、何か吹っ切れた…ようにも感じられた。
主演は、2009年に映画デビューしたというが、プロフィール
もあまり出ていない山田真歩。共演は2007年9月紹介『風の
外側』などの安藤サクラ(ラップもこなしている)、さらに
舞台女優の桜井ふみ、増田久美子、加藤真弓らが脇を固めて
いる。
また、前作の主演2人(駒木根隆介、水沢紳吾)が狂言回し
的に登場する他、ベテラン俳優の岩松了が良い雰囲気で父親
役を演じていた。
ラップというのは、2003年3月紹介『8 Mile』などの
印象で、海外のものは格好は良いが歌詞を字幕で読むのには
違和感があった。それに対して日本のものは、歌詞は判るが
韻律などがどうもしっくり来ない感じがしていた。
その点でこの作品に登場するラップは、専門家の評価は判ら
ないが、僕にはそれなりに聞けた感じがした。特にそれらが
生活の一部になっているという雰囲気が、違和感無く観られ
たものだ。
そしてそこに描かれる若者たちの苦悩が、今の時代背景だけ
でなく、切実でしかも前向きに描かれていたのは、多分前作
でもそれが観客に共感されたのだろう。少なくとも本作では
その点に納得した。
前作を観ていなくても楽しめたし、さらに続きもありそうな
ので、今回はしっかりと観ておきたい作品だ。
『結び目』
昨年6月紹介『童貞放浪記』などの小沼雄一監督の新作。前
作を紹介の時は寡作な監督だったようだが、2年続けての新
作とは何かで勢い付いたのかな。
物語は、川や山も近くにある田舎町が舞台。主人公の女性は
[5]続きを読む
05月16日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る