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On the Production
by 井口健二
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■殺人犯、ウィンター・ソルジャー、大人になった夏、シーサイド・モーテル、ジョニー・マッド・ドッグ、ACACIA+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『殺人犯』“殺人犯”
香港芸能界で四大天王の1人とも言われる『風雲/ストーム
ライダー』などのアーロン・クォック主演によるサイコサス
ペンス。
主人公は香港警察の刑事。そこで彼が属するAチームは猟奇
的な連続殺人事件を追っていた。そんなある日、同僚の刑事
がアパートの中庭に転落して意識不明の重体となる。その背
中にはドリルで開けられた無数の穴があり、それは彼らが追
う事件と同じ手口だった。
ところが捜査が進むと、その刑事は実はその直前にその日は
非番だった主人公の電話で呼び出されており、さらに過去の
事件の犯行日がいずれも主人公が非番の日であったことが判
明する。だが主人公にはそれらの日の記憶が全くない。
その後も彼の不利になる証拠が次々に現れ、主人公は徐々に
追いつめられて行く。そして周囲で信じてくれるのは、もは
やもう1人の同僚刑事と妻と幼い養子の息子だけとなってく
るが…。その刑事と主人公の家族にも危険が迫る。
このような物語が、ほぼ全編が主人公の1人称の形で描かれ
て行く。しかも観客にも真犯人が全く判らないように作られ
た作品で、主人公がどんどん追い詰められて行く恐怖が実感
できる構成になっている。
このような作品も過去に色々あったとは思うが、特に本作の
場合は猟奇的な犯行の内容でも強烈な印象も残すものになっ
ている。実際、これ程の犯行を繰り返す目的には一体どのよ
うな事情があるのか…、と考えてしまうくらいのものが描か
れる。
その全ての側面が、映画の後半で一気に説明されるのだが…
それがまた何とも言えない展開になって行く作品だった。
共演は、妻役に2008年8月紹介『ビバ!監督人生!!』などの
チャン・チュンニン、息子役に香港で天才的子役と呼ばれる
タム・チュンヤッ。同僚の刑事役に『冷たい雨に撃て、約束
の弾丸を』にも出演のチョン・シウファイ、2007年2月紹介
『かちこみ!〜ドラゴン・タイガー・ゲート』に出演のチェ
ン・クアンタイ。
監督は、アン・リー監督の『英雄HERO』の撮影現場など
に参加した後、本作でデビューを飾るロイ・チョウ。脚本は
2005年9月紹介『ベルベット・レイン』などのトー・チーロ
ン。脚本家は女性だそうだが、かなり強烈な作品だ。
因に本作は、昨年夏に香港で公開されるや賛否両論を呼んだ
もので、中国本土での公開時には題名が『罪与罰』に変えら
れた上に、結末も差し替えられたそうだ。

『ウィンター・ソルジャー』“Winter Soldier”
前々回に紹介した『ハーツ&マインズ』と併映で6月に日本
公開されるヴェトナム戦争の反戦ドキュメンタリー。
1971年1月31日にデトロイトで行われた反戦ヴェトナム帰還
兵「ウィンター・ソルジャーズ」に対する公聴会の模様と、
それに関連する現地の映像や写真、さらにその舞台裏での帰
還兵同士のやりとりなどで構成されている。
その公聴会では、アメリカ軍がヴェトナムで行った不法行為
が次々に告発されて行くが、当然それを示す映像などは僅か
で、それもその行為を示唆する程度のものしかない。
従って、その告発がアメリカ国民に与えた衝撃は理解できる
が、今この作品を僕らが観て受ける衝撃は、『ハーツ&マイ
ンズ』程のものではないように感じた。だからこの2作品が
併映されることに意味が生じる感じもするものだ。
つまり、『ハーツ&マインズ』と本作を一緒に観ることで、
この証言が真実であることを知ることができるし、その行為
の悪辣さや、証言を行っている帰還兵たちの行動の重みも感
じることができるのだ。
それにしても、ここで証言される内容の中には、2008年2月

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04月04日(日)
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