ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■P野ばら、ボローニャ…、瞬、上海アニメ、アリス・イン・ワンダーランド、ハーツ & マインズ、蜘蛛の拍子舞/身替座禅+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『パーマネント野ばら』
一部には無頼派とも呼ばれている西原理恵子原作の漫画から
の映画化で、原作者の故郷でもある高知県の漁港の町を舞台
にした、男運に恵まれない女性たちを描いた作品。
西原の原作による映画化は昨年は2本公開されているが、い
ずれも試写は観せて貰ったがサイトにはアップしなかった。
その1本はファンタシーらしいのだがどうしても物語が納得
できなくて、もう1本は中に描かれるDVを正視できなかっ
たものだ。
だから僕は西原原作の映画化には多少臆病になったりもして
いた。しかし今回の作品は、流れとしては後者に近いものだ
が、そこに描かれるユーモアやシビアな内容のバランスが良
くて、全体として落ち着いて観ることが出来た。
主人公は幼い女児を連れて離婚し、母親が女手一つで美容院
「野ばら」を営む実家に帰ってくる。そこは町で唯一のパー
マネント屋で、町の中年主婦の溜まり場のようにもなってい
る。そしてそこでは彼女らの男運の無さが、ある意味大らか
にも語り合われている。
そんな中に帰ってきた主人公だったが、そこには浮気が発覚
して離婚した夫が娘宛に電話を掛けてきたり、別居中の母親
の夫(主人公の実父ではないようだ)を訪ねたり、さらに山
の掘っ立て小屋で暮らす老人の家に出張散髪に出掛けたり、
幼い頃からの親友の2人の女性との交流があったり…
そんな日々が続く中、彼女の生活には高校の教師という恋人
も登場するのだが…
女たちの男運の無さの表現ではDVも味付け程度には出てく
るが、全体的に女たちが積極的で、その点では観ていて心地
よさもあった。それに途中から徐々に観え始める後半の展開
も、無理無く納得できる程度に描かれていたように思える。
主演は、8年ぶりの映画主役という菅野美穂。共演は、親友
役の小池栄子と池脇千鶴、母親役の夏木マリ、父親役の宇崎
竜童、恋人役の江口洋介、娘役の畠山紬。いずれもが填り役
だが、特に小池と池脇が良い感じの演技を観せてくれるし、
彼女らの幼い頃を演じる子役たちも良かった。
脚本は、『サマーウォーズ』などの奥寺佐渡子、監督は、僕
は観ていないが『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』などの
吉田大八。同じ作者の原作でもこうも違ったものになるのか
と感心させられた。

『ボローニャの夕暮れ』“Il papà di Giovanna”
第2次世界大戦前後のイタリア・ボローニャを舞台に、高校
教師の父親が家族を守ろうとして苦闘する姿を描いた作品。
第2次世界大戦の前、ボローニャにもファシズムが台頭し、
一般の人々の生活も窮屈になり始めている。そんな中で高校
の美術教師を務める主人公の悩みは、同じ学校に通学する年
頃の我が娘に恋人が出来ないことだ。
そんなある日、父親は転校生の男子生徒が娘と親しげに話し
ているのを目撃し、2人が付き合うように策略を巡らせるが
…。やがて地元のファシストの名士の娘が殺され、彼女がそ
の男子生徒と付き合っていたことが判明して、主人公の娘に
嫌疑が掛かる。
こうして我が娘を守るため父親の奮闘が始まる。そこにはか
なり尋常でない部分もあったりはするが、自分も娘を育てた
父親としては、この主人公の行動には理解もするし、結局父
親というものは世界中どこへ行っても同じなんだなあ、とい
う感じもした。
しかもこの父親が、特に自分からは何かをしている訳ではな
く、時の流れに流されている側面も多いことが、多分自分も
その立場なら同じだった、あるいは自分でもそうなってしま
うのではないか、というような共感も覚えたものだ。
そんな父親と家族、そして周囲の人々姿が第2次大戦の後ま

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03月21日(日)
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