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On the Production
by 井口健二
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■第183回
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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 まずはアカデミー賞の結果報告ということで、その結果で
は、もと夫婦対決が話題となった『ハート・ロッカー』は作
品賞、監督賞を含む6部門、『アバター』が視覚効果賞など
3部門ということになった。僕自身、両作品を観比べた上で
この結果は順当だとは思うが、『アバター』がSF/ファン
タシーというよりは、初の実写3D作品での受賞を逃したの
は残念と言いたいところだ。
 ただまあ、選前のもと夫婦対決という盛り上がりで、一気
に『ハート・ロッカー』の評価が高まったのも否めないとこ
ろで、本来このシチュエーションが無かったら候補に挙がっ
たかどうかも判らない規模の作品が、作品賞まで駆け登った
のだから、これはラッキーとしか言いようがない。結果的に
これをお膳立てしてくれたジェームズ・キャメロン監督には
敬意を表したいくらいだ。
 そしてこれが、プレゼンターのバーブラ・ストライサンド
に「時代が動いた」と言わせたキャサリン・ビグローの監督
賞受賞にも繋がった訳だが…。それにしても、ストライサン
ドも女性としては小柄ではないはずだが、そのミュージカル
女優がさらに見上げるほどのビグローの身長にも驚かされた
もので、その後の作品賞の受賞で壇上に来た男性スタッフた
ちよりも頭一つ分大きいのだから、これなら戦場アクション
を大局から観て描けると、妙な納得もしてしまった。
 それにしても、直前には今まで問題にもされなかった事前
運動の暴露という、恐らくは大手配給会社の差し金と思われ
る妨害工作があったにも拘らずの受賞だから、これは見事。
まあ妨害工作が裏目に出たということも考えられるが…
 その他の結果は、SF/ファンタシー映画関連を中心に報
告するが、主な賞を逃した『アバター』は、視覚効果賞の他
に撮影賞と美術賞を受賞。美術賞の発表前にはプロダクショ
ンアートと実際の画面の比較がされたが、CGIとは言え、
そのイメージがそのまま映像化されているのには感激した。
 一方、作品賞にもノミネートされた『第9地区』は無冠に
終ったが、これについては昨日書いた通りだ。
 また『スター・トレック』がメイクアップ賞を受賞。この
賞では、ここ数年『エディット・ピアフ』『ベンジャミン・
バトン』といった年齢の変化を観せる作品が多く受賞してい
たが、今回は基本的なエイリアンのメイクで、これも嬉しい
受賞だった。なおこのプレゼンターを担当したベン・スティ
ラーが受賞式で見せた『アバター』のメイクは皮肉のつもり
なのかな。本当はサシャ・バロン・コーエンとの共演でもっ
と過激なギャグもあったという噂だが。
 この他では、作品賞にもノミネートされた『カールじいさ
んの空飛ぶ家』はアニメーション作品賞と作曲賞を受賞。こ
の辺も順当という感じだろう。
 それからもう1本、長編ドキュメンタリー賞を、昨年10月
20日付で紹介した『ザ・コーヴ』が受賞したが、この作品に
ついての僕の評価はその時に書いた通りのものだ。でも今回
も受賞してしまったのは、やはりアメリカ国内の世論の強さ
だろう。個人的に候補作の中では前回3月7日付で紹介した
『ビルマVJ』の方が面白かったが、どちらも恣意的な作品
であることに変わりはない。
 ただ今回の長編ドキュメンタリー賞では、『THIS IS IT』
や『キャピタリズム』が最初から漏れているのが全体として
は不満には感じられたところだ。因に、『ザ・コーヴ』は、
昨年11月8日付で紹介したように1986年『ショート・サーキ
ット』などに出演のフィッシャー・スティーヴンスが製作を
担当していたもので、彼にオスカー像の手渡されるところが
テレビにも写っていた。
        *         *
 ということで、ここからはテレビ中継について少し述べて

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03月15日(月)
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