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On the Production
by 井口健二
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■第9地区、孤高のメス、フェーズ6、エンター・ザ・ボイド、ソウル・パワー、きな子、ヒーローショー
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『第9地区』“District 9”
先日発表されたアメリカのアカデミー賞では、受賞は逃した
ものの作品、脚色、編集、視覚効果の4部門で候補に挙げら
れていた、地球を訪れたエイリアンと人類との関係を描いた
SF映画。
物語の発端は1982年。一隻の巨大な円盤が南アフリカの首都
ヨハネスブルグ上空に現れ、空中に停止したままとなる。こ
の事態に軍隊が船体上に進出し、外壁を破って侵入すると、
そこには栄養失調で死にそうな100万体を越すエイリアンが
ひしめいていた。
その状況に国連は直ちに彼らを難民と認定し、停止した宇宙
船の真下に収容施設を建設して彼らを住まわせた。それから
28年、その場所は「第9地区」と呼ばれ、そこにはエイリア
ンだけでなく、彼らを食い物にするギャングも入り込んでス
ラムと化している。
一方、エイリアンが所有する強力な武器が発見される。それ
は生物学的にエイリアンにしか操作できない仕組みになって
いた。そこで地区の管理を任されていた民間の兵器会社は、
彼らの移住を名目にその武器を取り上げることを画策。その
責任者に主人公が任命される。
こうして主人公は、傭兵部隊を引き連れて「第9地区」に赴
き、エイリアンとの移住交渉を始めることになるのだが…。
これに主人公がエイリアンの武器を操作できるようになって
しまう経緯や、何やら秘密の研究を行っているエイリアンの
親子などが絡んで、物語が進められる。
脚本と監督は、南アフリカの出身でナイキのCMなどを監督
していたニール・ブロムカンプ。実は、当初の計画で彼は、
ピーター・ジャクスン製作でPCゲーム「HALO」の映画
化に起用されていたのだが、その計画が頓挫、その替りとし
て浮上したのが本作となる。
そして、監督自身が2005年に製作した6分の短編“Alive in
Jo'burg”(YouTubeにアップされている)を基に、そこに描
かれたエイリアンやその武器などを発展させた物語が創作さ
れ、ジャクスン製作の許で本作の映画化が行われた。
都市の上空に停止したUFOというと、小説では『幼年期の
終り』(確かヨハネスブルグもあったはずだ)があるし、映
像でもテレビシリーズの『V』や映画は『インディペンデン
ス・デイ』などいろいろ作られてきた。
しかしそこからの展開では、確かにこの作品の物語はユニー
クだし秀逸なものだ。そこにはアパルトヘイトを始めとする
南アフリカの社会情勢への暗喩などがあるとも言われるが、
単純にSFとして観るだけでも充分に面白い作品だった。
アカデミー賞での無冠は残念だったが、『2001年宇宙の
旅』は視覚効果賞は受賞しても作品賞の候補にはなれなかっ
た訳だし、作品賞候補が10作品に拡大された恩恵とはいえ、
この規模の作品で候補に挙げられたことは、SF映画にとっ
ても快挙で立派なことだ。
『孤高のメス』
脳死の法制化がされる1997年より前の1989年を時代背景に、
近隣の大学病院に依存してまともに外科手術も出来ない地方
自治体運営による市民病院に赴任してきた孤高の医師の活動
を描く、大鐘稔彦原作の映画化。
物語は、看護婦だった母親の葬儀のために帰郷した新米医師
の姿から始まる。彼は母親の遺品を整理する内、ふと表紙に
1989年と書かれたノートに目を留める。そこには「手術がい
やで堪らない」という書き出しの脆弱な市民病院に勤める母
親の愚痴のような日記が綴られていた。そして彼は、その日
記を読み進める…
その孤高の医師が、市民病院にやってきたのは、難しい手術
は救急車で1時間半も掛かる大学病院に依存したままという
市民病院を守る院長の決断だった。その市民病院には大学か
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03月14日(日)
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