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On the Production
by 井口健二
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■アヒルの子、ビルマVJ、桃色のジャンヌ・ダルク、BOX 袴田事件 命とは+製作ニュース他
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『アヒルの子』
愛媛県出身で映画監督を目指している女性が、自分の幼い頃
からのトラウマである家族との諸々の関係を精算して行く姿
を追ったドキュメンタリー。
作品は、最初に自殺をほのめかす監督自身の姿から始まり、
自らが家族と過ごしてきた期間の自分自身の思いや、両親と
2人の兄及び1人の姉に対する思いを綴って行く。そこには
かなり厳しい現実も語られるものだ。
さらに監督は5歳のときにヤマギシ会の幼年部に1年間入れ
られたことがあり、そのことについても検証が行われる。因
に監督自身には、ヤマギシ会に入れられたこと=親に捨てら
れたという想いがあり、その一方でヤマギシ会にいた期間の
思い出が全くない。
そこで映画の後半では、ヤマギシ会で何が行われていたのか
を、当時の名簿を頼りに全国に散らばる同級生を訪ね歩いて
その思い出を聞きながら、それによって自らの記憶を蘇らせ
て行く旅にもなっている。
なお、監督が時折見せる過剰な感情表現に関しては、1999年
の映画『17歳のカルテ』に描かれた「境界性人格障害」と
診断される部分もありそうだが、僕自身が以前にこの障害に
関して学ぶ機会があったこともあり、その点では興味深かっ
た。
ただ、20代後半になってもこの障害が克服できていないのは
かなり心配だが、試写会場に現れた監督本人の様子はそれな
りに良好だったから、この作品を作ったことで克服できてい
るのかな。それならそれも良いことだろう。
作品はヤマギシ会の協力も得て製作されているので、批判的
な部分は極力押さえられているが、それでも監督の思いが伝
わってくるのは、上手い構成ということなのだろう。僕自身
が以前からこの会に感じていたことが上手く描けているよう
にも感じられた。
実際、全国のヤマギシ会の同級生を訪ねて、徐々にその隠さ
れた実態が明らかにされて行く映画後半の下りには、ミステ
リーの謎解きのような面白さもあり、その結末も見事なもの
だった。因に、僕自身が考えていたヤマギシ会の実態は当ら
ずも遠からずのようだ。
公開は、沖縄にルーツのある監督が同じく家族の問題を描い
たドキュメンタリー『LINE』と併映で、今年5月のポレ
ポレ東中野を皮切りに全国順次の予定になっている。
『ビルマVJ』“Burma VJ”
オスロに本拠を置く、在外ビルマ人活動家による民主化支援
メディア「ビルマ民主の声」から発信される軍政ミャンマー
国内の圧制の模様を伝える映像。その衝撃的な映像がどのよ
うにして撮影され、如何にして海外に発信されたかを追った
ドキュメンタリー。
もちろんそこには、軍事政権による民主化勢力弾圧の様子も
克明に描かれる。そこでは、2007年9月に僧侶たちが立ち上
がった民主化要求デモとその弾圧の様子や、その中で起きた
日本人ジャーナリストに対する銃撃の瞬間などが実写の映像
で綴られている。
軍政ミャンマーの国内事情に関しては、2008年『ランボー/
最後の戦場』などでも多少は描かれたが、本作が描くのは都
市部に於ける正に民主化運動の最前線。それが若きヴィデオ
ジャーナリスト(VJ)たちが生命を賭して撮影した映像に
よって描かれる。
しかし、その素材となっているビルマVJたちによる記録映
像は断片的且つ膨大であり、その撮影場所や日時なども不明
確であったようだ。本作は、それらの場所をGoogleアースな
どで特定し、時系列に並べ直して構成・編集されたものだ。
さらに本作では、状況の流れを理解しやすくするために、海
外に逃れた1人のVJを設定し、彼の許に情報を集約すると
いう形式で物語が整理されている。従ってここには一部に再
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03月07日(日)
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