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On the Production
by 井口健二
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■ハート・ロッカー、隣の家の少女+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ハート・ロッカー』“The Hurt Locker”
2004年夏のイラクバグダッドを舞台に、米軍の中でも最も死
と隣り合わせの任務と言われる陸軍爆発物処理班の活動を描
いた作品。
当時のバグダッドでは時限爆弾や自殺テロなど毎日数10個の
爆発物が発見され、それらは爆発物処理班の手によって迅速
に処理されていたという。しかしその作業は、1歩間違えば
確実に死の時を迎える危険窮まりないものだった。
そしてその任務に当たるブラボー中隊は、すでに1年近い赴
任期間を経過して、帰国まであと38日というときを迎えてい
た。ところがその矢先、処理中の手違いで隊員の1人が死亡
し、3人が基本の処理班は新たな隊員を迎えることになる。
その代役としてやってきた二等軍曹は、爆発物処理の能力は
抜群だったが、その他の規律は無視する規格外れの人物だっ
た。そして次々に破天荒な手段で爆弾を処理して行く二等軍
曹の態度に、処理班内部での軋轢も発生するが…
神経の極限までも磨り減らす処理作業と、その後に訪れる解
放感。そんな気分が観客にも如実に伝わってくる。
脚本は、2008年2月紹介『告発のとき』の原案を提供したマ
ーク・ボール。2004年当時に自身でバグダッドに赴き、処理
班と共に行動して取材したという迫真のレポートから自らの
手で脚色している。
そして監督は、2002年10月紹介『K−19』などのキャサリン
・ビグロー。本作はそれ以来の長編作品となるが、前作に続
いて殆ど女っ気の無い壮絶な作品をパワフルに描き切ってい
る。
因に、ビグローは元ジェームズ・キャメロン夫人で、ゴール
デングローブ賞では作品賞、監督賞を元夫と争い何れも破れ
たが、キャメロンは本作の方が賞に相応しいと考えていたそ
うだ。
主人公の3人組には、何れもノンスターのジェレミー・レナ
ー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティが扮し
ているが、その脇をデヴィッド・モース、レイフ・ファイン
ズ、ガイ・ピアースらが固めている。
通常の戦争映画には殆ど登場しない爆弾処理という任務。こ
の作品にはその任務の重さが見事に描かれている。
『隣の家の少女』“The Girl Next Door”
1958年にアメリカインディアナ州で発生した児童虐待事件の
実話に基づくとされるジャック・ケチャムの原作で、一部に
は劇薬小説とも称される作品の映画化。
この作品を観るに当って興味本位の気持ちが無かったかと問
われたら、それを即座に否定することはできない。でもそれ
は興味本位というよりも、そのとき予想していた内容だった
ら作品を正視できるかという危惧が先に立っていたことにも
拠るものだ。
しかし映画を見始めると、そこには思わず居住まいを正した
くなるほどの真剣且つ厳粛な物語が展開されていた。それは
誰もが陥りそして後悔の念に立たされる、そんな悲しい物語
が描かれていたのだ。
物語は、中年を過ぎたと思われる男性の回想の形で始まる。
それは彼がまだ少年だった頃の出来事。彼の住む家の隣の母
子家庭の家に、両親を交通事故でなくした姉妹が同居人とし
て引っ越してくる。
その妹は事故の影響で下肢が不自由だったが、姉の方は事故
による傷跡はあるものの快活で主人公の少年ともすぐに仲良
くなる。そして主人公の少年は、実子は男子ばかりの隣家の
子供たちとも仲が良く、その家に泊まりで遊びに行くことも
あったのだが…
そこでは、口にするのも恐ろしい事件が進行していた。
本作の映画化は2007年に行われたもので、スティーブン・キ
ングがその年のホラー映画の第1位に推すなど高く評価し、
自らの原作による『スタンド・バイ・ミー』と表裏一体をな
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02月01日(月)
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