ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460218hit]
■エクトプラズム、ニューヨークアイラブユー、鷹の爪3、完全なる飼育、蜉蝣峠+製作ニュース他
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『エクトプラズム/怨霊の棲む家』
“The Haunting in Connecticut”
2002年にディスカバリー・チャンネルで放送されたドキュメ
ンタリー番組に基づいて描かれたというホラー作品。1987年
にコネチカット州のサジントンという町の屋敷に引っ越して
きた一家を襲った超常現象の謎が解き明かされる。
主人公となるのは末期ガンの長男を抱える一家。その深夜に
亙る通院に疲れた母親が病院の近くに見付けた屋敷に一家は
引っ越してくる。しかしその屋敷は長く空家のままとなって
いた曰く付きのものだった。
今まで観てきたホラー映画では、何でそんなところに引っ越
してきたの?という疑問符が付き纏うことがままあったが、
それに対する本作の理由付けは納得させられた。実話に基づ
くというのがどこまでかは判らないが、これなら仕方ないと
いう感じになるものだ。
そしてその屋敷に纏わる過去の事件と現在の一家の暮らしが
シンクロし、恐ろしくも哀しい出来事が描かれて行くことに
なるのだが…。その物語も最初は死期の近い長男から、その
範囲が徐々に広がって行くという過程も納得できた。
それに何より本作では、久しぶりに本気で観客を恐がらせよ
うという演出が行われているもので、先に公開されたサム・
ライミ製作の作品などよりは、よほどちゃんとした恐怖を味
わうことの出来る作品だった。
ただし、本作が長編デビュー作のピーター・コーンウェル監
督は、ちょっと過去の名作に捉らわれ過ぎている傾向もあっ
て、いくつかのシーンではどこかで観たような演出だなー、
と思ってしまうのはご愛嬌というところだろう。
脚本は、ロジャー・コーマンの門下生というアダム・サイモ
ンと、1991年の『アイアン・メイズ』で東京国際映画祭の脚
本賞を受賞しているティム・メトカーフ。どらかというと、
この脚本が本作の決め手となっているのかも知れない。
主演は、1999年リメイク版『ホーンティング』にも出ていた
ヴァージニア・マドセン。他にテレビシリーズ『ヴェロニカ
・マーズ』のカイル・ガルナー、2003年7月紹介『アララト
の聖母』などのイライアス・コーティアス、『ファイナル・
デッドコースター』に出演のアマンダ・クルーらが脇を固め
ている。
『ニューヨーク、アイラブユー』“New York,I Love You”
2006年12月に紹介した『パリ、ジュテーム』に続く、都会を
背景にしたオムニバス映画の第2弾。『パリ…』と同様、世
界中の映画監督たちが集まって大都会ニューヨークをいろい
ろな角度から描いてみせる。
今回のプロジェクトに参加した監督は、ファティ・アキン、
イヴァン・アタル、アレン・ヒューズ、岩井俊二、チアン・
ウェン、ジョシュア・マーストン、ミーラー・ナーイル、ブ
レット・ラトナー、ランデル・バルスマイヤー、シェカール
・カプール、そして初監督に挑戦したナタリー・ポートマン
の11人。
前回の時はコーエン兄弟を含めて22人21組だったから、監督
の人数は半減、時間も前作の120分に対して103分と短くなっ
ているが、セグメントの数が減った分、各々の平均時間は長
くなっているものだ。
そして内容的には、前回はそれぞれのセグメントが明確に独
立して、中にはヴァンパイアが登場するなどかなりファンタ
スティックなものもあったが、今回は何となく全体のイメー
ジが統一されている感じで、全体が大掛かりなアンサンブル
劇のように作られている。
つまり、ある日の大都会ニューヨークの各所で起きた1日の
出来事が点描的に描かれている感じもするものだ。因に各監
督に示された撮影ルールの一つは、視覚的にニューヨークが
特定できることだったそうだ。
そして物語に登場するのは、ナタリー・ポートマン(自監督
[5]続きを読む
12月13日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る