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On the Production
by 井口健二
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■サベイランス、コララインとボタンの魔女
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『サベイランス』“Surveilance”
デイヴィッド・リンチの娘ジェニファーが、1993年『ボクシ
ング・ヘレナ』以来となる14年ぶりに監督した作品。
監督の前作はいろいろ物議を醸した問題作だが、監督自身は
その後は出産を経てCM監督として活躍したり、また交通事
故の後遺症で苦しんでいた時期もあったとのことで、別段前
作のせいで干されていた訳ではないようだ。本作はそんな監
督の映画復帰作となる。
物語の舞台はサンタ・フェ。そこでは凶悪な連続殺人事件が
起きており、FBIの捜査官が捜査の指揮を取るためにやっ
てくる。それは地元警察にとっては煙たい存在だ。そして最
近の事件での3人の生存者に対しそれぞれ調書を取り始める
が…
その3人とは、同僚を殺された地元警官と、麻薬仲間を殺さ
れた若い女性、そして家族を殺された幼い少女。しかし彼ら
の証言には微妙な食い違いが生じている。それは彼らの主観
のためなのか、そんな証言の間に実際の出来事?がフラッシ
ュバックで挿入される。
脚本は、監督の短編作品などで一緒に仕事をしたことのある
ケント・ハーパーの原案によるとなっているが、日本人には
最近『TAJOMARU』も製作された黒澤明監督の『羅生門』が思
い浮かぶところだ。
ただし本作の物語は、細かい人間ドラマよりも謎解きの方に
主眼がおかれている感じで、それはそれでドライで良い感じ
ではあるものだ。そしてまあ父親譲りというかかなりグロテ
スクな映像がそれを飾って行く。
ただ、何というか全体的にシンプルなのが物足りなくも感じ
てしまうところだが、逆にねちねちとしつこいのよりは好ま
しいと感じる向きもあるかも知れない。因に父親は、本作の
エンディングは邪悪すぎるとして気に入っていないそうだ。
出演は、『ベンジャミン・バトン』などのジュリア・オーモ
ンド、『スターシップ・トゥルーパーズ』などのマイクル・
アイアンサイド、『インディペンデンス・デイ』などのビル
・プルマン。
他に、『ゾディアック』などのペル・ジェームズ、『リービ
ング・ラスベガス』などのフレンチ・スチュアート、そして
『リボルーショナリー・ロード』などの子役のライアン・シ
ンプキンスが見事な演技を見せてくれる。
『コララインとボタンの魔女』“Coraline”
1993年公開のティム・バートン原案による『ナイトメアー・
ビフォア・クリスマス』で、実際の監督を任されたヘンリー
・セレックが、2007年『ベオウルフ』などの脚本を手掛けた
作家ニール・ゲイマンの原作を脚色監督した作品。
因にゲイマンの原作は、2003年度のヒューゴー賞、ネビュラ
賞、ローカス賞、ブラム・ストーカー賞を総浚いしている。
そしてゲイマンは、その原作の出版1年半前に原稿をセレッ
クに送り、2人で映画化を目指したものとのとだ。
物語は、郊外のアパートに引っ越してきた一家の1人娘が主
人公。一家の母親は原稿の執筆に追われる作家で、家事一切
は父親が行っているという家庭。その両親は、自分が親の目
から見ればそれなりに主人公を大事にしているようだが、子
供はそうは思わない。
そんな主人公が、引っ越してきた家の片隅で、壁紙に覆われ
た小さなドアを発見する。そのドアの鍵を母親が見付けて開
けてみるが、その裏側は煉瓦の壁に塞がれていた。ところが
その夜、部屋に現れたネズミの後を追ってそのドアを開けて
みると…
現実の世界とはちょっとだけ違うパラレルワールド。そこの
母親は明るくて料理や家事も得意。そして父親もいつも楽し
く歌っている。そんな理想の世界に主人公は魅かれて行くの
だが、そこには落とし穴も待っていた。
元々原作は娘が思い付いたストーリーにゲイマンが肉付けし
たものだそうだが、子供の夢のようなものが見事に描かれて
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12月06日(日)
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