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On the Production
by 井口健二
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■●REC2、アフロサムライ、ジェイン・オースティン、ロフト、ヴィクトリア女王、よなよなペンギン、ジャック・メスリーヌ+他
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『[●REC]²』“[Rec]2”
2008年3月に紹介したスペイン製ホラー映画『●REC』の
続編。舞台は前作の惨劇の発生したアパート。まだ封鎖中の
その建物に、調査のため侵入する科学者に同行する警察特殊
部隊の記録カメラの映像という設定で、前作以降の物語が展
開される。
お話は上記の通りでそれ以上でもそれ以下でもないが、今回
はヘルメット装着のカメラなど上記以外の視点も巧みに取り
入れ、さらにそれによって時間軸も入れ替えるなど膨らみの
ある物語になっている。そして前作では謎だった因縁話も、
今回はその全てが語られるものだ。
それにしても前作では謎だった因縁話が本作では見事に展開
されていて、恐らく前作はそれを見越して製作されていたこ
とと思われるが、前作がハリウッドでリメイクされて、その
売却利益で本作を作ったのだとしたら、その戦略も見事なも
のだったと言えそうだ。
前作では惨劇がかなりえげつなく描写されていて、本作もそ
の点は同様なのだが、前作より演出に余裕があるというか、
何か落ち着いたところもあり、それが巧みにユーモアなども
生み出している。
もちろんこの手の映画を好きな人にしか勧められない作品で
はあるが、ショックシーンのタイミングなども的確で、それ
は安心(?)して観ていられる作品。監督はすでに実績のあ
る人だが、前作はその辺も計算づくだったのだろう。
製作には2年の間隔が開いているが物語は前作の直後という
もので、何となく見覚えのあるシーンが登場すると、おお、
そうだったとという感じにもなる。前作を観た人には絶対に
見逃せないと断言できる作品だ。
その一方で、前作のとつながりはあまり執拗にはつけられて
いないので、状況ドラマとして本作だけでも楽しめるかな。
僕は前作を観てしまっているので断言はできないが、そんな
風にも感じられる作品だった。
なお、エンドクレジットの中でJun Matuuraという名前に気
が付いた。story board artistの肩書きだったが、ネットを
検索してみると、同じジャウマ・バラゲロ監督で2006年日本
公開された“Frágiles”(機械仕掛けの小児病棟)にも参加
していたようだ。前作の『●REC』ではAkemi Gotoという
日本人も出演していたものだが、いろいろ興味深い作品だ。

『アフロサムライ:レザレクション』
2007年1月に全5話のミニシリーズとして全米で放送され、
その後の10月に日本でも紹介された和製のアニメーションが
評判となり、その続編として製作された作品。
因に本作は今年1月にアメリカSPIKE TVで放送され、9月に
発表されたエミー賞ではアニメーション部門の作品賞に和製
作品としては初めてノミネートされた他、美術監督の池田繁
美氏が美術部門の個人賞を受賞している。
元々は、発行部数=200部ほどの同人誌に発表された作品が
アニメ化され、それが全米で放送されて人気が爆発。ついに
はエミー賞受賞という快挙まで…舞台挨拶付きの試写会を観
に行ったが、作った本人たちもまだ狐につままれている感じ
にも見えたものだ。
物語は、「一番」と書かれた鉢巻を巡って、アフロヘアーで
黒人の侍や女剣士たちが、名誉と復讐のための闘いを繰り広
げる…というもの。実は僕はオリジナルのミニシリーズは未
見なのだが、本作だけでも物語の理解には支障はなかった。
まあお話自体はよくあるタイプのものだ。ただし、武士の闘
いを描く作品でありながら、そこにはチョッパーハンドルの
バイクが登場したり、マッドサイエンティストが怪しげな実
験をしていたり、その一方で銃には火縄が付いていたりと、
時代考証は目茶苦茶。
大体、アフロヘアーで黒人の侍という辺りから、それが日本
で存在し得たかどうかという話にもなる訳だが、でもそんな

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10月04日(日)
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