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On the Production
by 井口健二
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■白夜、ファイナル・デッドサーキット、カールじいさんの空飛ぶ家、戦慄迷宮、アンヴィル、陸軍中野学校、スワップ・スワップ+他
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『白夜』
2005年『バッシング』がカンヌ映画祭のコンペティションに
招待され、2007年『愛の予感』がロカルノ映画祭のグランプ
リを受賞した小林政広監督の新作。
実は後者の作品は試写を観せて貰ったのだが、細かいところ
をよく描いた演出の丁寧さなどは理解するものの、この監督
のちょっと安易に感じる死生感のようなものが何となく肌に
合わなくて作品としての評価は出来なかった。
結局本作にも似たようなところはあって、本作の結末には、
僕自身は受け入れ難いものがある作品だ。でもまあ、そこま
での過程として描いている部分にはそれなりに理解できると
ころもあるし、その評価はしなければいけないのかとも感じ
てこの記事を書いている。
物語の舞台は、フランスはリヨンの川に架かる歩道橋。その
橋に1人の日本人女性が物憂げに佇んでいる。そんな女性に
1人の日本人男性が声を掛ける。しかしちょっと軽薄そうな
その男の態度に、女性はけんもほろろの対応をする。
こんな出会いから始まった男女の半日間の行動が綴られる。
女性はある目的のためにその町に着いたばかり、男性は長く
ヨーロッパを彷徨った挙げ句に明日は帰国の途に着こうとし
ているところ。
僕は長期の海外旅行をした経験はないが、1人旅はしたこと
があるから、人恋しくなった男性の態度は理解できる。それ
に女性の態度もある種のステレオタイプではあるが理解はす
る。だから物語の設定には違和感はなかった。
そして始まる2人の物語、そこでは徐々に変化する2人の心
理が丁寧に、詳細に描かれて行く。ここで描こうとしている
内容は、『愛の予感』にも共通して監督の目指すところでも
あるようだ。
だから物語は理解するが、やはり結末が納得できなかった。
でもこの結末だからこそ評価をする人もいるだろうし、それ
はそれで理解もする。そういう物語。つまりは僕が納得でき
ないだけのものだ。
出演は、パフォーマンスグループEXILEメムバーの眞木大輔
と、Domaniなどのモデル出身で『ブラディ・マンディ』など
に出演の吉瀬美智子。演技の評価が出来るほどのシーンのあ
る作品ではないが、それなりに雰囲気は作っていたようだ。
ただ、リアルな映像ということで作られている作品ではある
が、望遠で撮影されている場面での画面の揺れにはちょっと
正視に耐えないものがあって、いくつかのシーンでは実際に
目を閉じてしまった。
カメラマンはプロの人のようだが、これが演出の意図だとし
たら、ちょっと願い下げにしたくなるものだ。
『ファイナル・デッドサーキット』
“The Final Destination”
2000年製作の“Final Destination”から数えて4作目の続
編。ただし原題からは今まで付いていた通し番号が外され、
さらに頭に“The”と付けられるなど、心機一転の作品とな
っている。しかも今回は3Dだ。
第1作は、『X−ファイル』などのジェームズ・ウォンの脚
本監督、アリ・ラーター、デヴォン・サワの主演で、大規模
災害から死神の意志に反して生還した人々を襲うさらなる恐
怖を描き、全世界で9000万ドルの興行を記録する大ヒットと
なった。
僕はこの第1作では、特に死神を出し抜くかなり緻密な推理
などが面白くて気に入ったものだ。しかし、2003年と2006年
の続編はいずれも試写は観せて貰ったが、事件の発端や死神
との推理戦などが安易で、僕はあまり気に入らなかった。
その第4弾という作品だが、今回も推理の方はあまり緻密で
はない。ところが今回は、それとは逆のそれぞれの被害者が
死に至る過程に手が込まされていて、風が吹くと桶屋が儲か
る的なカラクリが面白く3D映像化されていた。
つまりこれは、観せることを目的とした3D映画では正しい
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09月06日(日)
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