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On the Production
by 井口健二
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■リミッツ・オブ・コントロール、あいつはカッコよかった、ヤッターマン、ボヴァリー夫人+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『リミッツ・オブ・コントロール』
               “The Limits of Control”
1986年『ダウン・バイ・ロー』などでインディーズ系の映画
ファンには絶大な支持を受けるジム・ジャームッシュ監督に
よる2008年の最新作。前作の2005年“Brokenn Flowers”が
カンヌ国際映画祭で受賞し、乗りに乗っての新作となる。
インディーズ映画というのは、一般に監督が自分の言いたい
ことだけ言ってしまうので、観客には何というか意味不明の
ものが多いが、本作も結局のところは何を描きたいのかはよ
く理解できない。
でもまあ、本作の物語自体はシンプルなのでそれだけ楽しめ
ればいいのかも…ただ本作の物語の裏では巨大な陰謀もあり
そうで、その辺も面白くはあるのだが、それが明確に描き出
されないのは、多分監督にはその方向への興味が余り無いか
らなのだろう。
つまり、その裏にありそうな部分を全部削除してしまう辺り
がジャームッシュの面白さである訳だし、それはそれでファ
ンには支持されるところでもありそうだ。それに、今回は多
彩なゲスト出演者もそれぞれのファンには興味の魅かれるも
のになっている。
物語は、1人の男性がスペインに現れるところから始まる。
男は最終的な仕事は了解しているようだが、そこに至る道筋
がいろいろな人物との小さなマッチ箱に入ったメモによる指
示の受け渡しによって徐々に進められてゆく。
その男性を、ジャームッシュ作品には4作目のイザック・ド
・パンコレが演じ、彼に指示を受け渡す人物として“Broken
Flowers”に出演のティルダ・スウィントン、『ミステリー
・トレイン』の工藤夕貴、『デッドマン』のジョン・ハート
らが登場。さらにガエル・ガルシア・ベルナル、ヒアム・ア
ッバス、ビル・マーレイらが出演している。
一方、物語のキーワードには、ヴァイオリンやギターなどの
楽器が使われたり、美術館に展示されている現代アートや、
フラメンコが登場したりもする。そして舞台はマドリッドか
らアンダルシア地方へと拡がって行く。
まあ、細かいことを言い出したらきりが無くなると思うが、
そんなことは余り考えずに気楽に観れば良い。それだけでも
充分に面白い作品だ。

『あいつはカッコよかった』“그놈은 멋있었다”
韓流ドラマ『秋の童話』などのソン・スンホンが、2004年の
入隊前に出演した最後の作品。本国では同年に公開されてい
るが、当時は日本公開が見送られ、今回はソンの除隊と映画
復帰に合せての公開となるものだ。
主人公は極々平凡な高校生の女子。ある日、自分の通う学校
を中傷するインターネットの書き込みを見つけ、即座にその
反論を書いて送信してしまう。ところが、その最初の書き込
みの主は、問題校の生徒でしかも番長という男子…
そして「打っ殺してやるから校門で待ってろ」という返信に
戦々恐々の彼女だったが、現れたのはイケメンの男子。しか
もひょんなことから2人は交際を始めてしまう。その男子は
喧嘩も滅法強く、彼女にはとことん優しかった。
原作は韓国では1000万クリックを達成したというインターネ
ット小説。因に原作者のクィヨニは、2004年カン・ドヌォン
主演『オオカミの誘惑』の原作者でもあるが、本作はその処
女作とのことだ。
日本でもケータイ小説から映画化が何本か作られているが、
通常の出版では陽の目を観ることはなかったような代物が、
何でも発表できるメディアのお陰で世に出てしまった…。そ
んな作品が目に付くところだ。
本作も御多分に洩れずという感じで、はっきり言って女子の
願望が満載された男性から観れば辟易するような物語が展開
される。
それに、この種の作品が持て囃されるのには、過去の文学作

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08月16日(日)
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