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On the Production
by 井口健二
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■縞模様のパジャマの少年、幸せのセラピー、エル・カンタンテ、愛と青春の宝塚、セブンデイズ、アイカムウィズザレイン+製作ニュース他
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『縞模様のパジャマの少年』
          “The Boy in the Striped Pyjamas”
この作品は、何の予備知識も持たずにまっさらな状態で観て
もらいたい。残念ながら僕は立場上それは出来なかったが、
でもできる限り余計な情報は持たないようにして試写会に赴
いた。そして映画の1シーン、1シーンを心に染みるような
感じで観ることが出来た。
従って、出来れば以下の文章は読まずに映画を観てもらいた
いものだ。
時代は第2次世界大戦の最中。舞台はドイツ。主人公は8歳
の少年。そして主人公の父は軍の将校。戦争中であっても元
気な子供たちは、両手を広げて戦闘機の真似をしながら街を
走り回り、何の屈託もなく暮らしていた。
そんな主人公の父親に地方への赴任命令が下る。それは都会
を遠く離れたある場所での所長という役職だった。やがて引
っ越しをした一家には大きな屋敷が用意され、そこにはメイ
ドや下男もいて何不自由ない暮らしがスタートする。
しかしその場所は、まだ子供の主人公には友達もいないつま
らない場所だった。ところがある日のこと、冒険を求めて親
には禁じられた林の向こうに行ってみた少年は、鉄条網に囲
まれた場所に住む1人の少年と巡り会う。そして彼との友情
を結ぶ主人公だったが…
これだけで題名の意味しているところは判ると思うが、映画
はナチスによるユダヤ人強制収容所について描いたものだ。
しかもその物語をドイツ人の側から描いている。そして主人
公は、まだ遊びたい盛りの、世間の情勢も全く判っていない
少年の物語だ。
さらに判っていないのは少年だけではない。人形遊びに夢中
だった少女から、あっと言う間にナチスのプロパガンダに染
まって行く12歳の姉や、夫が収容所の所長であることは知り
ながらも、そこで実際に起きていることに気付かない母親な
ど…
原作は、アイルランドの作家ジョン・ボインが2006年に発表
したもので、すでに日本を含めて各国語に翻訳され、各地で
ベストセラーを記録しているそうだ。その作品から、『ブラ
ス!』『リトル・ヴォイス』『シーズンチケット』などのマ
ーク・ハーマンが脚色・監督・製作総指揮で映画化した。
主演は、1997年生まれだがすでにテレビなどで活躍している
エイサ・バターフィールド。青い目が印象的な彼は、2005年
に公開されたエマ・トムプスン主演“Nunny McPhee”の続編
への出演も発表されている。
共演は、1998年生まれで本作でデビューを飾るジャック・ス
キャンロン。主人公の父親役に『ハリー・ポッター』でルー
ピン先生役を演じるデイヴィッド・シューリス。母親役には
『ディパーテッド』『こわれゆく世界の中で』などのヴェラ
・ファーミガが扮している。
ホロコーストの問題には日本人はよその国のことと考える人
が多いかとも思うが、日本がその同盟国であったことは忘れ
てはいけないことだし、日本軍が中国人に対しそれに近いこ
とをやったことも間違いないことだ。
そんな歴史上の悲劇について加害者の側から見ることを、こ
の作品は可能にしてくれる。一部の人間の扇動によって事が
動かされて行く、それを見て見ぬ振りをする人々。それはホ
ロコーストの問題だけではない。

『幸せのセラピー』“Meet Bill”
『ダークナイト』に出演のアーロン・エッカート、『シン・
シティ』のジェシカ・アルバ、『スパイダーマン』のエリザ
ベス・バンクス共演による男の自立(?)コメディ。
主人公のビルは、銀行頭取の娘と結婚して重役の座を与えら
れた男。銀行の屋上にある大きなビルボードには、義父と義
弟と一緒に彼の顔写真が掲げられているが、彼自身にとって
その座は居心地の良いものではない。
実際、大事な顧客の応対には義弟がしゃしゃり出てくるし、

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05月24日(日)
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