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On the Production
by 井口健二
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■天使と悪魔、九月に降る風、MW、ダニエル/悪魔の赤ちゃん、刺青/背負う女/匂ひ月のごとく
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『天使と悪魔』“Angels & Demons”
2006年に公開されて世界的な大ヒットを記録したミステリー
作品『ダ・ヴィンチ・コード』=ロバート・ラングドン教授
シリーズの第2弾。なお、元々のダン・ブラウンの原作では
本作の方が前に発表されたものだが、映画化は後になってい
る。
その物語は、スイスの研究所で作られた反物質が強奪され、
ヴァチカンに脅迫状が届くのが発端。それは特殊な書体で記
されたもので、その謎解きのためにラングドンがヴァチカン
に呼ばれる。さらにその席にはスイスの研究所の女性科学者
も到着している。
一方、ヴァチカンでは前教皇が急死したことによる後任選出
のためのコンクラーベが準備されているが、脅迫犯によって
その有力候補4人が誘拐され、1時間ごとの公開処刑が通告
される。そして5時間後には反物質容器の電池が切れて、反
物質が容器内を落下するというのだ。
その5時間の刻限の中、脅迫状に記された書体を用いる秘密
結社イルミナティの存在を追ってラングドンの謎解きが開始
される。そこには400年前にヴァチカンが行った暗い過去の
歴史が関わっていた。
ヴァチカンは1992年にガリレオ裁判の誤りを謝罪したが、神
に挑戦する科学者と神を崇めるヴァチカンとの対立は常に存
在しているものだ。そしてついに、科学者たちによる秘密結
社がヴァチカンに向かって牙を剥く…そんな図式で物語は描
かれて行く。
その図式の中にラングドンは完全に中立の立場で登場するも
のだが、常に沈着冷静な主人公の姿はドラマ的にはちょっと
違和感のあるところかも知れない。しかし、主人公が前作の
跡を引き摺っている感じは、前作からの観客にはそれで充分
な人格描写にはなっているものだ。
それに今回は、謎解きも前作ほどは複雑ではないし、その分
アクションをたっぷり見せてくれる。さらには謎解きのため
ローマ市内各所を巡る観光映画的な部分もあって、どちらか
というと気楽に楽しめる作品というところだ。
その市内撮影のシーンは、試写当日に行われた記者会見によ
ると「違法行為はしていないが、無許可で撮影されたもの」
だそうだが、中には特別許可で撮影された歴史遺跡でのシー
ンもあり、ローマ市の協力は万全だったようだ。
そしてそれらのゲリラ的に撮影された背景に対して、無声映
画時代の手法から最新のCGIまでを駆使した映像化が行わ
れているとのこと。そこには期待した以上のシーンもあって
なかなか見事なものだった。
なお、心配された反物質の描写は、目視出来るほどの量とい
うのは確かにやりすぎだが、磁力で浮かせているという雰囲
気や、その危うさのようなものはそれなりに伝わってくる感
じだった。もちろん現実にはこうは行かないと思うが、映画
的にはこれでOKだろう。
それに反物質の製造までの描写には、昨年見学した高エネル
ギー研究所の施設を思い出させてくれる部分もあって、僕に
は納得ができた。
出演は、前作に引き続き主演のトム・ハンクス。それにユア
ン・マクレガー、さらに昨年2月に紹介した『バンテージ・
ポイント』などのイスラエル人女優アイェレット・ゾラーが
共演している。監督は前作と同じくロン・ハワード。
なお記者会見では、先に公表された第3作に関する質問も出
たが、製作者のブライアン・グレーザーがハンクスに、「君
は出てくれるかい」と訊くと、ハンスクは「このまま東京で
4日間話し合いをさせてくれるなら」との回答で、実現は間
違いなさそうだ。
『九月に降る風』“九降風”
昨年の東京国際映画祭では、『九月の風』の題名で「アジア
の風部門」に上映された台湾作品が日本でも一般公開される
ことになり、改めて試写が行われた。
物語の背景は1996年9月、台湾プロ野球界が八百長騒動に揺
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05月10日(日)
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