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On the Production
by 井口健二
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■幼獣マメシバ、僕とママの黄色い自転車、モーニング・ライト+製作ニュース
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※
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『幼獣マメシバ』
2007年4月に『テレビばかり見てると馬鹿になる』という作
品を紹介している亀井亨監督の新作。
監督は昨年『ネコナデ』という作品を撮っていて、その作品
はサイトでは紹介しなかったが、「猫の次は犬かよ」という
気持ちで試写を観に行った。
監督の作品はそれ以前にも何本か観ているが、その都度載せ
たり載せなかったりで、なかなか相性が合わない監督の1人
と言える。そこで今回は以前に自分で書いた紹介文を読み返
して、監督が主人公を突き放し過ぎている感じに違和感があ
ることに気付いた。
しかも、前作では中間管理職のサラリーマン、今回は引き籠
もりのオタクと、比較的自分が理解し易いキャラクターであ
ることが、監督の突き放し振りに一層の不信感を抱いてしま
うところでもあるようだ。
ということでちょっとネガティヴな書き出しだが、実は本作
でも最初はなかなか乗れない感じだった。特に前半は、佐藤
二朗が演じる主人公のキャラクター自体にも違和感が強くて
乗れなかったものだ。
ところが、ある時点から物語が填り始めた。それは極めて強
引な筋立てであり、常識では考えられない展開なのだが、そ
の非常識さが物語全体で一定の調和を得ている感じにもなっ
てきた。
その物語の発端は、父親が死んで四十九日の法要の日、母親
はそれ以前に家出をしていてその法要にも現れない。そして
息子は、部屋に引き籠もったまま。しかし母親からは定期的
に「もういいよ!」という言葉と意味不明のイラストの付い
た葉書が届いていた。
つまり家出した母親は、引き籠もりの息子に家を出て自分を
捜して貰いたいようなのだ。ところが息子は父親の法要にも
部屋から出てこない有り様。そんな息子が、1匹の柴犬の幼
犬に出会ったことから物語が動き始める。
それはやがて犬を通じて知りあった女性の手引きで、彼を富
士山麓へと誘って行く。映画の後半では、その雄大な富士の
姿に魅了される部分もあるが、取り敢えずは柴の幼犬の愛く
るしさが物語を強引に引っ張ってしまう仕組みのものだ。
まあ、小動物を使うことはずるいと言ったらそれまでの作品
でもあるが、そんな小動物と主人公が着かず離れずの関係も
なかなか巧みに描かれていたし、展開の強引さを差し引いて
も主人公の心情のようなものには共感も得られた。
それに結局、描かれる主人公の行動に嫌味なところがなかっ
たのも、今回は納得できたように思えた。
共演は、安達祐実、渡辺哲、高橋洋、お笑いコンビ笑い飯の
西田幸治、笹野高史、藤田弓子。他に佐藤仁美、菅田俊、石
野真子らも出演している。また『ネコナデ』に引き続きペッ
トショップ店員を演じる高橋直純が主題歌も担当している。
なお監督の以前の作品では画質の悪さを指摘したこともある
が、本作では細かな画質設定がいろいろ凝って為されている
ようで、それはそれなりに効果を上げていた。
『僕とママの黄色い自転車』
新堂冬樹原作「僕の行く道」を、昨年『子ぎつねヘレン』を
大ヒットさせた河野圭太監督が映画化した感動作品。
主人公は小学生の少年。父親と2人暮らしだが、母親はパリ
にデザインの勉強に行っていると聞かされている。そして母
親からは定期的に手紙が届き、主人公のいろいろな問いかけ
にも母親は手紙で答えてくれる。
ところが、ある日届いた手紙が彼に微かな疑問を抱かせてし
まう。その疑問は徐々に大きくなり、ついに彼は母親がパリ
ではなく日本国内にいるという証拠を掴む。そしてその証拠
を頼りに、彼は母親の許へと向かうのだが…
母親は何故、我が子に嘘を吐いてまで身を隠さなければなら
なかったのか、その謎が徐々に解き明かされて行く。
その謎の理由は、観客には早目に明らかにされてしまうが、
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05月03日(日)
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