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On the Production
by 井口健二
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■シークレット・ディフェンス、顧客、美しい人、私のなかの8ミリ、非女子図鑑、失われた肌、西のエデン、UWビギンズ、虹色の硝子
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
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『シークレット・ディフェンス』“Secret défense”
3月12日から六本木で開催される2009フランス映画祭で上映
される作品。
中東方面からのテロ脅威に揺れるヨーロッパを舞台に、人を
人と思わずただの道具として扱う組織の非情さが描かれる。
女は、語学の学業で挫折したところをワイン業者と称する級
友の父親に通訳として雇われる。しかしその父親の本当の職
業は国家の安全を守る諜報組織の幹部で、彼女は諜報部員と
して訓練を受けることになる。
男は、ドラッグの取り引きなどで警察や裏社会からも追われ
ていたところをテロ集団に救出され、国外に連れ出される。
そして砂漠での過酷な訓練を経てテロリストとなって行く。
ところが彼に与えられた任務は…
人を人と思わず、ゲームの駒のように扱うスパイ組織とテロ
組織。組織の目的は対立していても、その実態はあまり変わ
らない。そんな組織に偶然のように取り込まれた若者たちの
物語。しかしそれは本当に偶然だったのだろうか。
これらの組織が嘘で塗り固められたものであることは、昨年
末公開されたハリウッド映画『ワールド・オブ・ライズ』な
どでも描かれていたところだが、本作の作られたフランスで
もその姿はあまり変わらないようだ。
そこでは信ずるべき思想や大義も何もなく、ただゲームのよ
うに作戦が展開されて行く。しかもそれによって組織に取り
込まれた若者たちがまるで捨て駒のように扱われて、まさし
く非情な組織の姿が描かれて行くものだ。
出演は、バルドーの再来と謳われるヴァヒナ・ジョカンテと
『情痴アヴァンチュール』などのニコラ・デュヴォシェル。
さらに『ル・ブレ』などのジェラール・ランバン、『アララ
トの聖母』などのシモン・アブカリアンらが脇を固める。
映画の巻頭では、「悪魔は魂を奪うまで手を放さない」とい
うような言葉が掲げられる。脚本監督のフィリップ・ハイム
は、イスラム学者や元諜報部員らをシナリオの監修に招き、
4年の歳月を掛けてこの物語を作り上げたそうだ。

『顧客』“Cliente”
3月12日から六本木で開催される2009フランス映画祭で上映
される作品。
自らの製作出演でテレビの人気ショッピング番組を運営して
いるジュディスとイレーヌ姉妹。共同のアパルトマンで優雅
な独身生活をしている2人だったが、中年というより、もう
少し上の2人の身体はまだまだ男にも敏感だった。
そんな中で、司会者役のジュディスはインターネットのエス
コート・サービスにはまり、打ち合わせの時間の合間を見つ
けては男たちとの出会いを楽しんでいる。そしてそこで、パ
トリックと名告る1人の男性に出会ってしまう。
そのパトリックの優しさに魅かれ、指名を繰り返すようにな
るジュディス。ところが彼の本当の名前はマルコと言い、彼
は最愛の妻のために家族に内緒で身体を売っていたのだ。そ
して彼の仕事が家族にばれ、妻が職場に乗り込んでくる。
男性が主人公でこのような話は、昔から映画にするまでもな
くいろいろあっただろうが、今や女性の主人公でこんな物語
が語られる時代になったようだ。何て書くと、女性差別と叱
られそうだが、今までは女性自身でもなかなかこんな風には
描けなかったのではないのかな。
本作は、イレーヌ役で出演もしているジョジアーヌ・バラス
コの脚本監督によるもので、まさに女性自身がこの物語を描
いているものだ。
主演は、1985年『ゴダールの探偵』や2002年『キャチ・ミー
・イフ・ユー・キャン』にも出演のナタリー・バイ。他に、
2002年『NOVO/ノボ』のエリック・カラヴァカ、2007年
『きつねと私の12か月』のイザベル・カレが共演している。

『美しい人』“La Belle personne”
3月12日から六本木で開催される2009フランス映画祭で上映

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02月28日(土)
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