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On the Production
by 井口健二
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■第177回
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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。 ※
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今回は記者会見の報告から。
映画の公開時などに行われる記者会見には、お呼びが掛か
れば出来るだけ出席するようにしているが、ここでは少なく
とも自分でした質問に関しては、きちんと報告させてもらう
ことにする。
因に昨年は、記者会見で多少トラブルに見舞われたりもし
て、今年はちょっと自重気味にスタートしたのだが、質疑応
答の時間になっても質問が出なかったりすると、やはり手を
挙げてしまうことになる。それで今年の最初は、1月20日の
『重力ピエロ』完成披露試写会での質問からになった。
質問は脚本の相沢友子さんに対して、小説を脚本化するに
当って気を付けたことを訊いてみた。その答えは「本作では
原作の時間軸がかなり入り組んでいたので、一旦、時系列を
戻したシナリオを書いてみた」とのこと、実はこの答えは、
当日配布されたプレス資料にも書かれていたことに後で気が
付いたが、原作のまま単純に脚本化するのではない、特別な
作業の状況が聞けて面白かったものだ。
次は1月22日の『GOEMON』の完成報告記者会見で、
この映画に秀吉役で出演した奥田瑛二さんに質問をした。実
はこの時点で試写は見せて貰っておらず、作品を観ないでの
質問は難しいのだが、この日は宣伝担当からの依頼もあった
ので質問をした。ただし質問内容は勝手に変更して、監督の
経験もある奥田氏にVFXを多用した映画に出演した感想を
訊いてみた。
その答えは、「(本作の)監督の紀里谷氏とは以前から仲
が良く、今後、自分もビッグバジェットの作品を作るときが
あったら、今回のグリーンスクリーンを貸してもらいたい」
とのことだった。僕は奥田監督の作品では、第17回東京国際
映画祭のコンペティションにも出品された『るにん』が気に
入っているものだが、あのスケールでグリーンスクリーンを
使った作品はぜひ観てみたいものだ。
さらに2月3日の『PLASTIC CITY』の記者会見では、ユー
・リクウァイ監督にアマゾンを舞台にしたことについて訊い
てみた。これは、物語の後半がかなりファンタスティックな
ものになることについて、脚本が先で舞台をアマゾンにした
のか、アマゾンを舞台にしたことでこの展開になったのかを
質問したものだ。
その答えは、「映画の結末には苦慮して、決まらないまま
ブラジルに向かったが、アマゾンを観てあの物語が出来上が
った」とのこと、1月11日付の映画紹介の時にも書いたが、
やはりアマゾンには物語を生み出す特別な力があるようだ。
因にこの会見は、有楽町にある外国特派員協会の会見場で
行われたものだが、記者席の前に立ったマイクに所に出て行
って質問するという形式で、そのためか質問が映画の内容に
関わらない通り一遍のものばかりだった。そこで最後に、監
督に上記の質問をしたのだが、場内が多少混乱している中、
監督には丁寧に答えてもらえて嬉しかった。
そして2月5日の『四川のうた』のジャ・ジャンクー監督
記者会見では、俳優が演じているインタヴューが実話に基づ
くのか、それとも完全なフィクションか訊いてみた。
その答えでは、「ジョアン・チェンが語ったシャオホァの
話と、リュイ・リーピンが語った母親の話は、複数のインタ
ヴューで出た話を総合して作った。特に母親の話は工場の従
業員の多くに語り継がれている話。一方、ジョアン・チェン
には、過去の自分の映像との共演という無理な注文の応じて
貰えて感謝している」とのことだ。またチャオ・タオが語る
若い女性の話は完全にフィクションで、チェン・ジェンビン
の話については言及されなかったが、流れからすると創作の
可能性が高そうだった。
確かに、多くの人に語り継がれている話を、当事者が居な
いからといって描かないのは歴史を語る上では誤りであろう
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02月15日(日)
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