ID:47635
On the Production
by 井口健二
[460257hit]

■鴨川ホルモー、恋極星、チョコラ!、ヤッターマン、ピンクパンサー2、ニセ札
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。     ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『鴨川ホルモー』
テレビドラマ化された『鹿男あおによし』の原作者でもある
万城目学によるデビュー作の映画化。歴史の町=京都を舞台
に、陰陽道を背景にした奇想天外な物語が展開される。
主人公の安倍明は二浪して京都大学に合格。しかし入学はし
たものの直ちに五月病で、葵祭りのアルバイトに参加はした
が目標も何もない生活ぶり。ところがその帰り道、京大青竜
会なるサークル活動に誘われる。それはごく普通のサークル
だというのだが…
新入部員は10人。取り敢えず飲み会などごく普通に始まった
サークルは、祇園宵宮の四条烏丸交差点で他校3校との邂逅
があったときから怪しげな雰囲気が漂い出す。
そこに来たのは、北は京都産業大学、南は龍谷大学、西は立
命館大学、そして東が京都大学の面々。彼らは京都の平安を
守るため、1000年の歴史を持つホルモーを行う集団だったの
だ。そんな集団に巻き込まれた主人公の、いろいろ起きる学
生生活が描かれる。‥‥で、ホルモーって何?
物語はごく普通の学園もののように始まる。ここでは三大祭
や保津川下りなどの京の風物詩が次々登場し、1年を通じて
の京都観光のような雰囲気が楽しめる。ところがそこに徐々
に摩訶不思議なものが登場し、映画の後半は大VFX大会と
なってしまうのだ。
しかしその物語の展開は巧みで、この有り得ない話がごく自
然に物語の中心にすり替わって行くのは見事なもの。もちろ
んそこには主人公の恋模様など、主人公を物語の中心から外
さない仕組みも付けられている。
出演は、山田孝之、栗山千明、濱田岳、芦名星、石田卓也、
斉藤祥太・慶太、荒川良々、そして石橋蓮司。さらに、映画
の後半の主役ともいえるVFXのCGIアニメーションは、
『ブレイブストーリー』などのGONZOが担当している。
また、作品に登場する珍妙な踊りの振り付けをパパイヤ鈴木
が担当しており、さらにその珍妙な振り付けを出演者たちが
真面目に演じているのも好感が持てた。この種の作品では、
それを演じる出演者の真面目さがキーになるが、その点でも
満足できる作品だった。
原作は、「本の雑誌」でエンタテインメント第1位に選ばれ
るなど、特に若者の評価が高いようだ。そして映画化では、
恐らくその雰囲気を壊さないように作られているのだろう…
かなり飛んだ作りの作品だが、押さえどころはちゃんと押さ
えている感じがした。
それに、四季に渡る京都の風景が見事に映像に写し取られて
いるのも魅力的だった。

『恋極星』
2005年の別冊フレンドに読切り掲載されたというミツヤオミ
原作のコミックス「君に光を」の映画化。北海道を舞台に、
若くして両親を亡くした女性と、幼馴染みの男性との切ない
ラヴストーリーが展開される。
前に母親を亡くしている少女は、幼い弟と共に父親の解説す
るプラネタリウムで星々の話を聴くのが好きだった。そして
そこには幼馴染みの男の子の姿もあった。しかしその男の子
は両親と共にカナダに引っ越してしまう。必ず迎えに来ると
約束して。
やがて父親も亡くなり、弟は星の話題にしか興味を示さない
問題のある子として施設に預けられる。そして彼女は、町の
小さな建設会社で働きながら彼が迎えに来る日を待ちわびて
いた。それが叶わぬ夢かも知れないと感じながら。
愛した誰もが自分の前から去ってしまう。そんな哀しい思い
を何度もしてきた彼女。ところがしばらく音信不通だった彼
が彼女の前に現れる。そして再び訪れた素晴らしい日々。し
かしそこには、思いも寄らぬ落とし穴が待ち構えていた。
物語的にはちょっと甘いところが多い感じもするが、原作が
少女マンガということでは、これが原作の味なのだろう。多
分観客もこれを了解できる人たちが狙いというものだ。それ

[5]続きを読む

02月14日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る